『酒の酌』 ページ4
土方side.
『ようこそ、おいでくんなまし。』
そこにいたのは気高くて美しい花魁であった。気の強そう瞳でこちらを見ている千早太夫は吉原の女にしちゃ目が死んでいない稀な人間になるのであろう。
「(こりゃ檜山も気にいるわけか。)」
吉原の中でも有名な茶屋に、この桃源郷では名を知らぬ者はいない程有名な花魁。
地位の高い花魁になればなるほど幕府をも揺れ動かす程の重要機密を握っていたりするものだと聞いた。
この女が本当に檜山の情報を知っているのかは定かではない、けれど真選組が嗅ぎまわってる事を気付かれない為にはゆっくりとこの女から信頼を得るしかなかった。
『お名前をお伺いしてもいいでありんすか』
「...十四郎だ。好きに呼べ。」
名字は名乗らなかった。身元が割れたら困るからだ。
この女がここの生まれかはたまた売られたのかは知らないし今初めて俺の名を聞いたとは思うが、馴染み客から万が一俺の名を聞いた時に不信感を覚えさせない為でもあった。
「別に食おうと思って来たわけじゃねェ。ただ酒の酌をしてくれりゃいい。」
俺のその言葉に花魁は少しびっくりしたように大きな目を見開いて酒の酌をする手が止まった。
暫くしてハッとして言葉を紡いだ。
『そう仰る方は珍しいので驚いてしまいんした。十四郎様は変わってると言われる事はありんすか？』
「変わってると思うか？普通はそうだろ」
『...そうでありんすね。しかし、ここは上ではござりんせん。普通の基準も少し違うのでありんす。』
そりゃ吉原にくる者は皆、欲を求めて来るであろう、俺みたいに情報を引き抜きに来る者以外は。
この会話以降、会話らしき会話は無かったが別にそれが苦になるような環境でもなかった。
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絹紗(プロフ) - クリームチーズさん» コメントありがとうございます！更新頑張ります！ (2019年8月22日 10時) (
レス) id: 19a58175b5 (このIDを非表示/違反報告)
絹紗(プロフ) - もりこさん» ありがとうございます！励みになります〜！ (2019年8月22日 10時) (レス) id: 19a58175b5 (このIDを非表示/違反報告)
クリームチーズ(プロフ) - 私も今日初見で来たのですが、本当に好きなお話です！更新楽しみにしてますので、頑張って下さい！！！！ (2019年8月21日 22時) (レス) id: 7b6c8b39e8 (このIDを非表示/違反報告)
もりこ(プロフ) - 今日初めて拝見したんですが、とてもいいお話ですね！土方さん大好きなのでとても嬉しいです！続きがとても楽しみです、更新頑張ってください！ (2019年8月21日 20時) (レス) id: b540dd18b2 (このIDを非表示/違反報告)
絹紗(プロフ) - Decemberさん» コメントありがとうございます！気付けば話が重くなってしまってました笑、更新頑張ります！ (2019年8月18日 7時) (レス) id: 19a58175b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：絹紗 | 作成日時：2019年8月3日 22時
