検索窓
今日:17 hit、昨日:14 hit、合計:32,640 hit

『彼の正体』 ページ16

『(真選組鬼の副長、土方十四郎...ねェ)』






どうしても引っかかったその名前。ただの偶然では片付ける事ができなかった。








「千早姐様?難しい顔でありんすよ。」


『...美濃、心配しなんすな。少し考え事をしていただけでありんす。』









檜山の話が本当で、彼が真選組の土方十四郎だったとしたら私は彼にとってはただの情報提供者。私のところに檜山の情報を求めてやってきたに違いない。








『美濃、主が若くて男前だと言っていたあの馴染み客、初会はいつだったか覚えていなんすか?』


「いつが最初だったでありんしょう?確かではありんせんが、もうふた月ほど前だった気が...」


『ふた月....』


「それがどうかしたのでありんすか?」









私があまりにも難しそうな顔をしているらしく、彼女は私を心配そうに見つめていた。







『人生上手く行かないものでありんすね。あちきはあの男の演技に騙されていた...本当に憐れな女でありんす。』


「...姐様?」


『大丈夫でありんすよ。お前さんが心配する事はなにもありんせん。』









そう言い美濃の頭を撫でた。檜山はかなり有名な攘夷浪士だった事は私に貢ぎおゆかり様になるあたりから理解ができる。それほどまでに檜山は稼いでいたからだ。





じゃあ、十四郎様は?檜山より若いであろう彼が私に通い詰めるほどのお金はどうしているのか。


幕府に仕える者ならかなり収入はいい筈で、その上捜査の為ならお金が上から下りても可笑しくはない。








『(考えれば考えるほど、十四郎様は真選組の土方十四郎にしか思えない。)』







ああ、やっぱり知りたくなかった。私は彼にとって檜山を捕まえる道具でしかなかったのだ。


こんな形で彼の事を知ってしまうだなんて、不運にも程がある。遊女とお客よりも私達は複雑な関係にあって、どう考えても叶う見込みはないのだと。


現実を見せられて胸が痛んだ。

『私が選んだ道』→←『幕府の犬』



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (44 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
101人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 土方十四郎 , 坂田銀時
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

絹紗(プロフ) - クリームチーズさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2019年8月22日 10時) (レス) id: 19a58175b5 (このIDを非表示/違反報告)
絹紗(プロフ) - もりこさん» ありがとうございます!励みになります〜! (2019年8月22日 10時) (レス) id: 19a58175b5 (このIDを非表示/違反報告)
クリームチーズ(プロフ) - 私も今日初見で来たのですが、本当に好きなお話です!更新楽しみにしてますので、頑張って下さい!!!! (2019年8月21日 22時) (レス) id: 7b6c8b39e8 (このIDを非表示/違反報告)
もりこ(プロフ) - 今日初めて拝見したんですが、とてもいいお話ですね!土方さん大好きなのでとても嬉しいです!続きがとても楽しみです、更新頑張ってください! (2019年8月21日 20時) (レス) id: b540dd18b2 (このIDを非表示/違反報告)
絹紗(プロフ) - Decemberさん» コメントありがとうございます!気付けば話が重くなってしまってました笑、更新頑張ります! (2019年8月18日 7時) (レス) id: 19a58175b5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:絹紗 | 作成日時:2019年8月3日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。