【銀魂】仮初めの恋【土方十四郎】

『けりをつけたい案件』 ページ2

土方side.


「どうしたんだ近藤さん、こんな時間に。」


「トシに頼みたい案件がある。」






夜も更け、書類整理に追われる俺の部屋ぐらいしか灯りがついていない時間。珍しく近藤さんが俺の部屋に尋ねて来た。







「今追っている過激派攘夷党の頭、檜山(ひやま)の話なんだが」







檜山とは最近勢力を一気に拡大し始めている過激派攘夷党の頭株であり、江戸近郊での目撃情報もあるため粛清のために情報を探している相手でもあった。









「吉原ァ？」


「ああ、檜山はそこの千早太夫という花魁にベタ惚れらしい。」


「そうと言っても近藤さん、あそこは幕府も黙殺してるし外の法も効きやしねェ。」


「何も吉原で檜山を捕まえる必要はない、リスクが大きいんでな」


「まさかとは思うが、俺に何とか太夫の元へ通えと？」








顔が引き攣るのが分かった。目の前の近藤さんは強請るような目でこっちを見てくるのだからたちが悪い








「総悟は未成年だし、俺はお妙さんがいるし...」


「じゃあ山崎辺りに行かせりゃいいだろ。何も俺が行くこったない」


「トシのがそういうの得意そうだし...仲良くなって情報引き抜いてくるだけでいいんだよ」








引く気のない近藤さんにしょうがないと感じた。今引き延ばしにしてもそろそろけりをつけたい案件だ。






「で？何太夫だって？」


「千早太夫さ、何しろあっちじゃ有名な花魁だそうだ。すぐに見つかるだろうよ」





ヘェ...と返事をしたが、正直なところ情報を引き出すために近づく花魁には興味も湧かなかった。


早く聞き出して早く蹴りがつけばいい、この時はそう思っていた。

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