one hundred one ページ8
シルクside
「し、ぅく…」
小さくAの声がして顔を上げる
竹野とンダホは雪玉を投げあってる
ｼﾙｸ「あれ…？Aは？」
そこでやっと気づく
Aの姿がないことに
竹「えっ？」
全員で辺りを見回す
ﾝﾀﾞﾎ「あっちー！？」
少し離れたところでンダホが叫ぶ
慌てて駆け寄れば倒れているA
ｼﾙｸ「Aっ！？」
竹野がAを背負った
竹「ヤバい体が冷えきってる！呼吸も浅い…」
このままじゃ…！そこに続く言葉なんて聞きたくない
ｼﾙｸ「救急車…」
電話をかけて要件を伝える
竹「顔色悪すぎ…！」
ポケットからカイロを出して竹野に渡すと
それをAの首元にあてた
竹「あんま意味ねぇけど…これ以上体冷やすと多分やばい…！」
そうしていると救急車のサイレンが聞こえる
Aをベッドに乗せると
お礼を言われて救急車は行ってしまった
ｼﾙｸ「病院行ってくる！」
救急車を追いかけるように走った
雪に足を取られてちっとも進まない
俺の所為だ
自分の遊びに夢中で周りが見えなくなるとか…
小学生かよ…
冬は咳が出やすい
寒暖差に弱いって
ずっと言ってたし
教えて貰ってたのに…！
病院について受け付けでAの居場所を聞く
2階の病室にいると聞いて
階段を使ってそこを目指す
部屋の扉を開けると暖房が効いた部屋に
Aは寝かされていた
腕は点滴に繋がれていた
ｼﾙｸ「ごめんA…ごめん…」
服は着替えさせられているようだった
さっきより顔色は良くなっていて
安心した
「あっ、君は」
振り向くと以前Aが
骨折したときに処置をしてくれた
女の先生がいた
「運ばれてきた時は体温が低くて大変だったけど今は大丈夫よ」
そう言って微笑んだ
ｼﾙｸ「すみません…俺が見てなかったから…」
謝ると俺の方に手が置かれた
「ありがとう、Aちゃんといてくれて」
驚いて顔を上げると悲しそうに笑っていた
「Aちゃんは昔からここに通ってるの。いつも消えたいって言ってたわ。でも言わなくなった。Aちゃんを外に出してくれてありがとう」
思わず泣きそうになる
消えたいって思わなくなったのかな
それならよかった
ホントに嬉しい
「Aちゃんの世界が貴方のおかげできっと広がった。ありがとう。もうすぐ目を覚ますと思うわよ」
Aの体温を確認して
そう言い残して病室を出ていった
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作者名：鳴海 帆南 | 作成日時：2019年11月15日 17時
