文書071-3-8 ページ15
暗い廊下をもうしわけ程度の明かりが照らし、一部は消えています。
一部の明かりが消されているのは特段プルトーネが壊したなどということはなく、
ただ単に節電と光に反応する異常生物への対応だけです。
廊下をもう少し進むと、灰色の霧のような靄のようなものが次第に広がっていきます。
ゴーストタウンの境界線を分かりにくくするため、そしてその街に降り続ける雨と霧が流れ出ているからでしょうか。
幸いなことに境界線は赤く光って強調さながら移動し続けているのですが、この霧はそういった意図ではなく
また別の作用―過去の幻覚と後悔及び懺悔の誘発効果が目的となりゴーストタウンに広がっています。
つまるところ、生身で過去に懺悔しようという心がほんの素粒子程度でもあるのなら非常に危険、
というよりはプルトーネに優先的に回収されてしまいます。
その点においてはシャルドネは無知蒙昧な愚か者であり、はたまた優秀な盾でもあるでしょう。
「これが、幽霊の棲む街とやらデスか。この退廃的な雰囲気、とっても惹かれマス」
表情が何一つ変わらず剣呑な声も変化なく狂喜に満たされているような吐息と共に呟きます。
それが大であれ小であれ、贖罪の気持ちというのは誰にでもあるのですが彼女にはそんなものが無いのでしょうか。
赤い光の目立つ境界線に踏み入れます。
雨粒が一面に降り注ぎ、霧散した水溜まりの水が辺りを霧として多い、
不明瞭な視界には現代的な家屋と閉鎖した商店が立ち並んでおり、横を見ると二人分の傘が収納された傘立てが置かれています。
濡れるのが嫌な人に対する本当に些細な配慮なのでしょうか。
私はあまり関係ないのですが濡れるのはベタついた何かを彷彿とさせるようで嫌です。
無地の黒い傘をとり、空に向けて開きます。
「釣れるでしょうか、彼女」
視界が不明瞭というのは見通しが悪いことでもあるため、私にとっては不利なことこの上ないのですが、そこはまあ妥協点です。
問題は死んでいる私に気がついてくれるかでしたが、シャルドネ(えさ)がいるのでその不安も取り除かれました。
釣りの心得というのはいかにして待ちを上手く行うかでしょう。
「言うまでもなくきてマス。なんとなくわかるんデスよね」
シャルドネが非常に興味深いことを呟きました。
「それは素敵な体質ですね。私の書架に来てほしいほどに」
「それは…いやデス。ホラ、来ましたヨ」
彼女が目を向けた先に目を凝らすと、壊れた機械が来ています。
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菫青(プロフ) - 紫清さん» まず、この世界観に惚れてくれたことが作品の親として本望でした。彼女の在り方や文章は私の好みも含んでいたのですが刺さったということで大変嬉しい限りです。こちらこそコメント、ありがとうございました。 (2019年10月19日 20時) (レス) id: 62f559e9d8 (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - 急にコメント失礼します、偶然この作品を読ませて頂いたのですが、謎の多く少し不気味な世界観とそれを反映した文章、そしてダンタリオンさんの在り方に惚れました……! これからも陰ながら更新楽しみにしております。素敵な作品、本当にありがとうございます。 (2019年10月19日 20時) (レス) id: 85ba6a0490 (このIDを非表示/違反報告)
菫青(プロフ) - シャル@如月唯奈さん» 私個人の趣味を大きく詰め込んだ設定、文章でしたが読みやすいようで何よりでした。こちらこそ参加させていただきありがとうございます。 (2019年9月25日 20時) (レス) id: 62f559e9d8 (このIDを非表示/違反報告)
シャル@如月唯奈(プロフ) - イベント参加ありがとうございます!早速読ませていただきました。文章も好みでとても読みやすかったです(^-^)この作品の設定もイイ(笑)更新頑張ってください! (2019年9月24日 22時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菫青 | 作成日時:2019年9月21日 21時