叔母さん、年取った? ページ22
朝、目が覚めて真っ先に窓を確認した。
よし、りボーンはいない。
ここ数日はあれに脅迫されてばかりだったのだから、束の間の安寧を楽しもうとした。
「初音ちゃん、また不健康生活してたでしょ」
安寧なんてなかった、いいね?
起きたと同時に扉が開き、いるはずのない叔母の声が聞こえてくる。
「カルラさん…?」
「ええ、貴女の叔母ことカルラ・アダルベルトよ?」
「カルラさん仕事あったんじゃないの?」
体を起こしてPCへと向かい、複数を一気に立ち上げながらきく。
「有給とってきちゃった!」
「あっ…」
カルラさんは自信満々に言い切った。
思わずブロードソードに手が伸びてしまったが、なんだか忙しい中で休暇をとっているのだからやめておいた。
なにより組織ひとつに手を出すのは死ぬる。
「カルラさんがいるってことはあれだよな?あの人いるんだよな、あの…」
言葉が濁る。
俺はあの人が苦手…ていうかなんか腹立つ。
子供扱いってのは委員長以外だとどうもこそばゆいから、本当に無理。
なんというかこう…俺には勿体ないって感じだな。
「うんうん、勿論」
「やだ。俺一生引きこもってやる」
「そいつは見過ごせねぇな」
「いあいあ。クトゥルーの呼び声ならぬリボーンの呼び声が聞こえてくるなぁ。産地直送じゃねぇかよ」
画面から目を離さずに一気に呟く。
画面では可愛らしい美少女が可愛らしい服を着て物騒な獲物を持ち戦うゲームが開いてあり、そこでスキルの選択をしていた。
画面から目を離したら現実に引き戻されるのだから、だったら溺れるようにはまった方がいいじゃない。
「なんだよ俺に一番効く方法わかってんじゃねぇか…クソッ」
そんな事を考えながらネトゲを再開していたら、真横に林檎が飛んできた。
画面もリンゴも無事だが、流石に振り返って文句と捨て台詞をごちゃ混ぜにして告げる。
「姪に銃弾を撃たれるのは看過できないけれど、外に出てほしいのは同意だもの」
「そうだ、薄暗い部屋で生きるより生死の境にいるようなやつに会ってこい」
「後者も今の俺じゃい」
自分でもわかる、今これそうとうやさぐれてるなって。
「リボーン」
「万が一ならツナに寄ってけって言ったぞ」
「こっちもヘタレ一人招いてるわ」
会話を聞くだけで全てを察した。
前門のカルラさん、後門のリボーン。
某バスケ漫画と違い諦めた俺は大人しく降伏した。
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作者名:菫青 | 作成日時:2019年9月18日 19時