032 K side ページ32
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夏に近づいているとはいえ
5月の夜は少し暗くて
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帰りの電車に揺られる俺たち
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思いのほか人は少なくて
Aちゃんを端っこにして
俺はその隣に腰掛けた
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館内を結構歩いたからか
野球部の俺でも足は少し疲れてて
Aちゃんもしんどかったかな、と思った矢先
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『.....えっ、』
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Aちゃんの頭が俺の肩に乗ってきて
驚いて変な声が出てしまった
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え、こんなことする子だっけ
そういえば今日手すら繋いでなかったな....
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全く動かないAちゃんを不思議に思って
恐る恐る顔を覗き込むと
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「.......。」
『.........まじか。』
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いつもの大きな瞳は閉じられていて
長い睫毛が揺れていた
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規則正しいAちゃんの寝息と
鼓動が加速していく俺の心臓
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結構余裕ぶっこいてたけど
今日一日本当はすげぇやばかった
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星をじっと見つめている横顔は綺麗で
名前を覚えようと必死な姿が可愛くて
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触れそうになってはやめての繰り返し
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彼氏だしいいじゃん、って思う反面
男慣れしてなさそうなところに漬け込みたくないって
なに正義ぶってんだって感じだったんだけど
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さすがにこんなことされたら
俺だってもう無理なわけで
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寝ているAちゃんの頬にくっついている髪の毛を
起こさないように優しくすくう
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一瞬くすぐったそうにして笑ったAちゃんは
すぐに表情を一変させて
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「.......れ、ん。」
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は？
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『.....いま、なんて？』
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俺の脳内が正常な判断を溶かしていく
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なんで廉の名前がでてくんの？
しかも下の名前で
そんな苦しそうな顔で呼ぶの？
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『Aちゃんにとって廉ってなに？
.......、俺ってどんな存在？』
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その問いかけに
答えなんて返ってくるはずもなく
俺はただ寝顔を見つめるだけ
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俺らの最寄り駅まで
あと2駅
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苺大福(プロフ) - 楼茉（ろま）さん» コメントありがとうございます！共感してくださって嬉しいです！私の両親も過保護で....(笑)私も幸せになって欲しい思いで書いています。お気遣いありがとうございます！！！！ (2020年3月8日 19時) (
レス) id: 57fd65d360 (このIDを非表示/違反報告)
楼茉（ろま）(プロフ) - 苺大福さんが書く家庭環境とか、女の子の心情とか。自分に当てはまりすぎててスゴい引き込まれます... 私の場合はただ単に親が過保護すぎってだけだけど笑 主人公の女の子にはどうか幸せになってほしいです(T^T) 更新楽しみに待ってます！ ご無理なさらぬようm(__)m (2020年3月8日 19時) (レス) id: 8e032e81a7 (このIDを非表示/違反報告)
苺大福(プロフ) - ぷーちゃんさん» 指摘ありがとうございます(泣)すみませんでした...。書き直したのでよかったらまた読んでください！！二度手間ですみません...。 (2020年2月10日 17時) (レス) id: 57fd65d360 (このIDを非表示/違反報告)
ぷーちゃん(プロフ) - こんばんは！携帯が壊れてるはずなのにLINEが送ってることになってます��(ﾟДﾟ) (2020年2月10日 2時) (レス) id: 36fbe17710 (このIDを非表示/違反報告)
苺大福(プロフ) - renchkaさん» ありがとうございます！歌を題材にした方が作りやすいかなぁと思って作って良かったです！廉くんに1票ですね！笑、頑張ります！！ (2020年1月31日 23時) (レス) id: 57fd65d360 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：苺大福
| 作成日時：2020年1月28日 23時
