【原神】恋に落ちたその日から【ディルック】 (ページ7)

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剣に写るものはページ7

「……先程から尾行する君は一体何者だ」

しまった。遠くから見る事も出来るはずなのにそのまま近くまで尾行してしまっていた。

Aはどうしようかと考えたが良い案が出ず渋々物陰から出ることにした。

『……貴方は赤……いえ、オーナーのディルックさんですか？』

「君の正体を聞いている」

疑いの眼差しが静かに向けられる。

当たり前の反応だろう。

尾行なんて誰がされても嫌に決まっている。

『私は旅人です。オーナーさんが何か隠すように出て行かれたので不思議に思いまして……ごめんなさい。悪気はなかったんです』

疑いを晴らすようなことは言えない。

こんな失態を七神に見られたら笑われるどころではないだろう。

七神をまとめる神の座を引きずりおろされ、そして……

キィィンン！！

『っ……！？』

Aは咄嗟に片手剣を構えた。

ディルックはAに両手剣を向けた。が、すぐおろした。

「やはり君は……いや、なんでもない。」

『……？』

「急に剣を向けてすまない。僕は先程エンジェルズシェアにいた者だ。君は先程歌を歌っていたね」

『き、聞いていたんですか……！』

『お恥ずかしい……』とAは俯く。

「綺麗な歌声だったよ。……さあ戻ろう。バーテンダーのチャールズに任せっきりだ」

Aは内心深い溜息を息を吐いた。

正直、自分の失態よりも無事に場をしのげた事に1番安堵していたのだった。