【原神】恋に落ちたその日から【ディルック】 (ページ5)

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無茶振りページ5

「お、今日はオーナーだ。ついているな旅人さん」

少女は被っていた布を少しめくり店内を見回した。

オーナーとはあの癖っ毛のある赤髪の人だろうか。

お酒をワイングラスに入れるその姿が絵に映えるような人だと少女は思った。

すると見ていたのがバレたのか、バッチリと目が合う。

その人は一瞬驚いた顔をしたがすぐに訝しげな表情をした。

「……未成年者を連れての入店はお断りしているが」

「旦那、この旅人さんは成人しているよ」

少女は控えめにコクコクと頷く。

赤髪の人は「……そうか、僕の早とちりで申し訳ない。ゆっくりしていってくれ」と、謝罪の言葉と共に歓迎してくれた。

二階に上がり、男性が勧めてくれたお酒を頼む。

赤髪のオーナーの驚いた顔が何故か脳裏で離れないでいた。

「あの旦那が気になるのかい？」

『いえ、ただ絵になるような人だなと』

少女はオーナーから目を逸らした。

「だろう？あのラグウィンド家のディルック様はすごい方だ。短期間でワイナリーを立て直したとか」

すると、一階の方でわあわあと男性達の盛り上がる声が聞こえる。

少女は上の階から一階の様子を静かに覗き見た。

男性達は酒を飲み、高揚としながら酔って歌って踊っているようである。

『……ふふ、モンドの方々は元気ですね』

少女は笑顔を見ることが好きであった。

何十年、何百年経っても少女の大事な守りたいものである。

「混ざりに行こうか」

『……え、』

「見てるだけじゃつまらないからね」

少女が男性と共に下の階に行くと男性達が大声で笑っていた。

「お、嬢ちゃんじゃねえか。珍しいなあ」

「おお！若いのによく来た！ささ、こっちに座りな」

「名前はなんていうんだ？」

『今の名前は……いえ、Aです』

「おお、良い名前だなあ」

「君、よければ歌ってくれよ。歌は歌えるかい？」

『え、歌ですか……？』

「歌だって！？君歌えるの！？ささ、どうぞどうぞ！おーい歌ってくれるらしいぞー！」

『え、ちょっと私まだ何も……！』

少女、もといAは男性の中に入ってそうそうに無茶振りに振り回される羽目になった。

シーンと静かになる酒場。

立たされたAは勢いに押されてキョロキョロと辺りを見回す。

目が合ったオーナーとは違うもう1人のバーテンダーには頑張れと口パクされる始末。

やるしかないと意気込み、昔バルバトスと歌ったモンドの曲を歌う事にした。