【原神】恋に落ちたその日から【ディルック】 (ページ15)

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風神ページ15

次の日のお昼過ぎ。

Aはディルックを横にさせた後、置き手紙を置いて宿に戻った。

お昼頃にはまた冒険者協会の依頼を受け、任務中である。

大きな木の下にある七天神像で休んでいると氷晶蝶がそばに飛んできた。

「氷晶蝶が寄ってくる子なんて誰かと思えばAだったんだね。」

『っ！』

ばっと振り返れば木にもたれる風神バルバトスがいた。

『びっくりした…』

「あはははっ。Aは相変わらず変わらないねぇ。」

『バルバトスこそ変わらないと思うけどね。』

Aはバルバトスの発言に苦笑する。

Aはバルバトスと七神の中でも仲が良かった。

だが驚かせるような事は控えて欲しいといつも思う。

バルバトスはAの隣に腰かけた。

「今も元気？旅はどう？」

『うん元気だよ。旅の方はまあ…順調かな。』

「そっかあ。昨日聞いたんだけどエンジェルズシェアで働いているんだっけ？」

ごほごほとむせるAは驚いた表情をして風神を見た。

『それってどこ情報なの？！』

「モンド中噂になってたよ。容姿的にAかなとは思ってたんだよ。ね、そうだよね！」

『そうだけど昨日働き出したばかり…』

「あ、そうそう。お昼過ぎにエンジェルズシェアのオーナーが君の事を探していたよ。」

『え、』

「焦った様子だったから何かあるんじゃないかな。」

『やっぱり昨日の事ですよね…』

Aは立ち上がった。

「もう行くの？」

『オーナーのディルックさんが探してるなら行かないと。』

Aは白い布を被った。

「今のAは楽しそうだね。」

『？』

「昔のAはどこか寂しそうな感じがしたから。」

『…過去は掘り返すものじゃないよ。それに、』

Aは微笑んだ。

『今は、神として生きているから。』

そう言ってAは踵を返しモンド城の方へと歩いて行った。

「いつかAが本当の幸せを見つけられる時が来たら良いのにね。」

風神の願いは木々の葉が掠れる音と共に消えていった。