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〈O side〉
和の小さい手を引いて住宅街を歩く。
５分程歩いておれが住んでるマンションに着いた。
翔くんや松潤が住んでるような高級マンションではなく極普通のマンションだけど、朝は小鳥のさえずりが聞こえ、夕方は子どもの笑い声が響き、居心地がよくて気に入ってる。
「ここがおれんち。誰も呼んだことないんだ。翔くんも。だから和が初めてだな」
きょとんとしてる和を家に入れ、簡単に案内する。
最後におれの仕事部屋。
扉を開けると独特な絵の具の匂い。あちこちにおれが描いた絵が散らばってる。
「さとしがかいたの？」
和が初めておれの前で喋った。ていうか、さとしって言ったよね？
やべぇ。かわいすぎる。
「うん。絵を描くのがおれの仕事なの。だからほとんど家にいるんだ。和は絵、好きか？」
「すきじゃない。でもさとしのえはすき。いっぱいいろあってきれい」
和は抑揚をつけずに、音を並べるみたいに喋る。
少し聞き取りずらいけど、和の素直な気持ちが伝わってくる。
「そうかぁ〜ありがとう」
でも絵を描くのは好きじゃないとなると、おれが描いてる間、和に何しててもらおうか。
ふと部屋の隅に立てかけてあるギターが目に入った。
おれはそこそこ歌が上手いらしく、大学時代バンドに誘われたことがあった。ギターまでもらったし、せっかくだと思い加わったけど、結局みんな勉強が忙しくて自然解散した。
「和、これはどう？ギターっていう楽器」
軽く音を鳴らしてみると、興味津々といった様子で食い入るようにじっと見てる。
あと一押しだな。
ギターを持ってリビングに移動し、ソファーに和を座らせて、おれは向き合う形でラグに座った。
「じゃあ、１曲歌います」
おれが今でも弾けるのはあの歌だけ。
…ハルが好きだったあの歌。
普通ギターに合わせるような歌じゃないけど、喜ばせたくて、簡単なコードをつけて毎日のように歌った。
歌い終わると目を輝かせ、こちらを見てる和。
目の前の和にハルが重なる。
和を預かることを提案したのは、ただ単に翔くんの力になりたいと思ったから。
…だけじゃないのは自分でも分かってる。
分かってはいるけど、止められなかった。
おれは４年経った今でも、過去に囚われたままだ。
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希乃(プロフ) - 北嶋 蛍さん» コメントありがとうございます！楽しみにしていただけてすごく嬉しいです！頑張ります！ (2020年1月5日 2時) (
レス) id: 2b1adbc3c9 (このIDを非表示/違反報告)
北嶋 蛍(プロフ) - こんにちは、和くんが可愛くて、お話が興味深くて続きがとても楽しみです！これからも頑張ってください！ (2020年1月5日 1時) (レス) id: 3ab18a4c3f (このIDを非表示/違反報告)
希乃(プロフ) - 萌和*さん» はじめまして。そう言っていただけるとすごく嬉しいです。ありがとうございます！これからも応援よろしくお願いします！ (2019年12月29日 19時) (レス) id: 2b1adbc3c9 (このIDを非表示/違反報告)
萌和*(プロフ) - はじめまして。どタイプなお話すぎて一気に読ませてもらいました！続き、楽しみにしてます(^^) (2019年12月29日 18時) (レス) id: 270b2e26c0 (このIDを非表示/違反報告)
希乃(プロフ) - 花想いさん» ありがとうございます！コメントいただけて嬉しいです。これからもかわいい和をたくさん書けるように頑張ります！ (2019年12月25日 15時) (レス) id: 2b1adbc3c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：希乃 | 作成日時：2019年11月6日 23時
