【夏目友人帳】拝啓、愛してます。 (ページ2)

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昔々のことでしたページ2

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　「私はとある田舎道を友人とのらりくらり、特に何をするわけでもなく歩いていました。このようなボンクラでもほんの小さい社を守護していたもので、それはもう何年も何年も、夏目殿の気が遠くなる程の時間をその社で過ごしていました。元より飽き性な私です。そろそろ人間に仕えるのも飽きていた頃の誘いでしたから、身仕度もそろそろ私は友人の誘いにのり出掛けたのです＿＿

　木々は色づき、あの頃ではそう珍しくない土の道脇に溜まった落ち葉や乾いた風が私共の鼓膜をかさかさと鳴らしていてそれはもう楽しき時間でした。

　「矢張り、たまにはこうやって外に出るのも悪くないな」

　「そうだともそうだとも。お前は人に仕えすぎだ。元より自由すぎるお前のことだ、そろそろ窮屈しているんじゃないかと思って誘ったのは正解だったようだね」

　「確かに、そうかもしれない。俺は少し人間に仕え過ぎたのかもしれないな」

　「やっと気が付いたかボンクラめ。お前の力ななら多少の我儘を通すことなど容易いことだろうに」

　「ははは。そう？じゃあ頑張ってみるかな」

　ぷつりぷつりと途切れる会話と夏より強い日差しが悪かったのでしょう。次第に心の箍(たが)が外れてきてしまい、気付けば私は面白半分で人の子が同じような格好で通る″通学路″なるものの隅っこで彼等を観察していました。

　「いや隅っこでかよ」

　「小心者なのだな」

　「仕方ないじゃありませんか！恐いんですから」

　時間は確か午後の三時四時あたりだったかと思われます。珍妙な話題に珍妙な喋り方。正直昔より品がなくなり下等生物が更に下等になったものだと私は一人落胆していました。人間に抱いていた少ない希望もあっさり砕かれ、如何しようもなくなった私は誰でもいいから人間にとりつこうと、同じような髪型をしたおなごと話す、弱々しい少女にとりつきました。