『I love you』の物語 (ページ8)

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明日の月は綺麗でしょうねページ8

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　「本当最悪ですよ。何故貴方なんかと組まなきゃいけないんですか」

　「あ？それはこっちの台詞だよこの唐変木！」

　「何ですって、この猫被り！」

　「猫被りで何が悪い！バーカバーカ」

　「悪いから言っているんですよ！アーホアーホ」

　ふんっと鼻を鳴らし煮えたぎった腹を鎮めようと、お互いがお互いにそっぽを向いた。腕を組み、眉を顰め大股を広げるその姿は面白いほどシンクロしていて、余所から見れば仲の良い痴話喧嘩を思わせる。だが、生憎二人はそんな生ぬるい関係ではなかった。

　幼い頃から覚えのない前世の因縁に囚われ何から何まで相手より優れていることを証明すべく争ってきた。駆けっこや学業は勿論のこと、家に帰る時間、身長、食事のスピード、腕力、果てや男女のテクニックにまでありとあらゆることを競いあって来たのだ。

　その因縁を知ってか知らずか、彼らは一度も同じところに所属したことはない。いつも敵対していたのだ。

　そんなある意味仲の良い彼等だったが、今年になって初めて同じ、つまり味方同士になった。事は一時間前に遡る。

　今日、十一月十一日はポッキー、プリッツの日。彼等の周りはこういうイベントが好きな者が多く、何を思ったのか皆でポッキーゲームをしようと狂った遊びが始まった。元来このような軽く軽率なゲームは二人とも好まず、二人揃って丁重にお断りしてのだが何分このようなことを言い出す輩の集まり、「なら二人でやればいい」と人語を理解しない駄獣が言いだし光も驚く速さであれよあれよという間に決まってしまった。