拾った彼女と拾われた彼【紫色のEND】

18話 ページ20

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「誰もいないですね」





コツコツと暗い映画館の中を歩く。


一番乗りみたいだ。







はぁ、薄暗い館内にドキドキしてきた。

でも今日の目的を果たさなければならないんだよ、ふぅ。







目の前をポップコーンを持ちながら楽しそうに歩く彼に近づいた。








「もりさんもりさん」








「どうしたの？」







彼がきょとんとした表情でこちらを振り向いた。






く、かわいい。



最近この人にドキドキしまくってたから忘れてたけど、私のベストオブ可愛いお兄さんだったんだよこの人。







いやいやいや、今はいいんだよもう。

邪念をぶんぶんと振り払って私は彼と向きあった。






「あの、お返事が、したいなぁって、思いまして」







すると彼ははっ、と一瞬目を見開き、うんうんと私の言葉を促してくれた。









「あの、正直私、自信ないです…

もりさんに釣り合うかどうか。

あなたを支えられるかどうかなんてわかんないんです」








もりさんはあんなにかっこよく私に告白…してくれたのに。
私はごにょごにょと言葉を口にしだした。









「でも、でもですね。

それ以上にこれからも一緒にいたい。

一生涯あなたと一緒にいたいって思ったんです。

それは、男の人として好きだから…

でも家族みたいな人でもあって、安心して、その…」








言葉に詰まる。







あれ、あれれ、雲行き怪しくない？



なんか変な事口走ってない？









家族という言葉が出てきてしまったせいで、どうまとめていいのかわからなくなってしまった。








あわあわと次の言葉を考えていた私を見かねてか、もりさんはしばらく考えてから、あくまで真剣に答えてくれた。









「…家族ってことは、それはつまり、俺と結婚してくれるってことなの？」









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