14話 ページ15
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またある日のこと、私は学校から帰っていた。
遅くなってしまって、1本電車に乗り遅れてしまった。
ホームでぽつんと次の電車が来るのを待っていると、コツコツと靴のなる音がした。
足音の方へ振り返ると、そこには見慣れた顔があった。
「るぅとさん」
こちらを見るとヒラヒラと手を振ってくれている彼に私も手を振り返す。
そして彼は私の座っているベンチの隣に座った。
「学校からの帰り?」
彼の質問に頷く。
「そっか」と彼は呟いた。
そして彼は突然こんなことを口にした。
「なーくんと、上手くいった?」
「…え?」
なぜ彼がそのことを知っているのだろうか。
私は驚いたまま彼の顔を見た。
「あー、ごめんごめん。
そのー、さとみくんところちゃんから聞いちゃって」
るぅとさんは頭をかきながら話してくれた。
「実はね、さとみくんとAが話した日に、ころちゃんがさとみくんにお酒を飲み行こうって誘われてさ」
僕はその時たまたまころちゃんと居たから、そのまま一緒に行ったの。
そう言う彼は少し考える素振りを見せた。
多分、話した日って言うのはジムの日のことだろう。
…さとみさん、なんて言ったのかな。
彼がどう聞いたのかが気になる。
「それでさ、Aは他の男の人にもドキドキしちゃうから悩んでるんでしょ?」
しばらく考えたあと、彼はこう言った。
「うん、でもそれは仕方ないことだと思うんだ」
そして彼は私にふわっと近づいた。
ギュッ
彼が近づいたために彼の柔軟剤の香りがふわっと香り、私の心臓がどくどくと波打つ。
…手を握られた。
「ドキドキしてる?」
そう聞く彼にこくりと頷く。
「そっか、僕もだよ」
よく顔は見えないが耳が少し赤いのがわかった。
「異性と接近してドキドキしないことなんてないから、Aは普通だよ」
彼の言葉に彼の顔を見た。
「なーくんを幸せにしてあげてね」
彼は優しく笑ってそう言ってくれた。
…最近、皆さんが肩を押してくれる。
返事、返さなきゃだ。
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Tugune*(プロフ) - 本編含めて4周してしまった…。しゅうくさんの作品大好きすぎます!!ホントに何度読み返してもまた読みたくなっちゃう。完結するまで応援してます!のんびりとしゅうくさんのペースで頑張ってくれると嬉しいです!!! (2022年2月15日 21時) (レス) id: 1520cb7750 (このIDを非表示/違反報告)
びえん - いやうますぎん?5日で読み終わったw (2020年11月30日 1時) (レス) id: 99e5f8b903 (このIDを非表示/違反報告)
さばのみりんぼし - わぁぁ!!おかえりなさいいいい!!こんばんは!!生きてるかなー?(失礼)って思ってたんですけど更新されてて飛び跳ねましたwwこれからも応援しています!! (2020年9月7日 22時) (レス) id: 63b2895196 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる(プロフ) - わああ、おかえりなさいー!改めて読んでたらしゅうくさんの作品大好きすぎる事に気が付きました、、(; ;)(?)受験生なの同じです、お互い勉強頑張りましょうー!これからも応援してます! (2020年9月5日 15時) (レス) id: 4fed831af4 (このIDを非表示/違反報告)
藍乃(プロフ) - こんばんはー!お久しぶりです!ちょうど今日!そういえばしゅうくさんの作品ってどうなったっけ…?って思ってた所だったんですよ!!これはもう運命では((殴 すみません調子乗りました笑 更新嬉しいです!楽しみにしてます〜!! (2020年9月4日 1時) (レス) id: 5ba2df906e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゅうく | 作成日時:2020年5月2日 15時