百六十七粒 ページ25
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知っていた。
ちゃんと、動画を見て、放送まで聞いて。
「確かに重いですよ。
あなた、結構壮絶な人生送ってきてるし。
ほんと、あなたが放送で動画を流してくれている時、帰宅途中だったんですけど。
途中の公園で座って、外で泣いちゃったんですから」
でも。あなたは最後に言ってくれたじゃないか。
「リスナーさんに会えてよかったって。
生まれてきてよかったって思ったって。
…愛されてるって分かっているから、ちゃんと向き合えているからあんな風に私たちにお話してくれたんですよね?
それなら、もう、乗り越えてるじゃないですか。
昔のことが重くても今があるから良いんですよ」
私がぐっと親指を立てると、彼はクスッと笑ってこう言った。
「うん、そうだよ。
わかってるじゃん、ちゃんと箱推しなんだね」
もちろん、できるだけ皆の放送を聞きに行こうとしてるし、動画も見るし。
頑張っている人を応援したくなるのは仕方の無いことだと思う、多分。
「でも、私たちやっぱり似てますね」
「ん?やっと気づいた?」
「ふふ、私はそんなに大変な人生を送ってきたわけじゃないですけど。
親が忙しくて構って貰えなくって。
転勤族で学校を転々とする中、友達がいないしで。
せっかくお話してくれるようになったこの子には嫌われたくないとかって思ってて」
認められたいって思うのは、ずーっと今も昔も変わらないんだ。
そんな私に彼はこう言った。
「でも、Aちゃんだって乗り越えてるんでしょ?」
「…ふふ、もちろんですよ」
正直、今までは認められたいって思うこと自体が良くないんじゃないかって思ってた。
欲深いんじゃないかなって。
けど、仕方ないなぁって思えるようになったし、私は現に愛されてるなぁだなんて思えた。
「私、結構愛されてますよね?」
私が冗談っぽくそう聞くと。彼は突然静かになった
あれ。
「…やばいくらい好かれてる」
気をつけて、と。
真剣な顔をしてそんなことを言うもんだから、面白くなってしまって。
何故か私が笑ってしまった。
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莉犬猫 - ななもり。さんだけidでてます (2022年6月18日 20時) (レス) @page43 id: a2185c14b6 (このIDを非表示/違反報告)
めーたん - 王子様を選ぶ所で選べないキャラがいたのでそのストーリーをみたいです! (2022年1月22日 9時) (レス) @page43 id: 0f93307700 (このIDを非表示/違反報告)
ツッツ〜 - なーくんのしかlD出てきません… (2020年8月18日 2時) (レス) id: 98be095f42 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - あと、何か最後の誰を選ぶ?みたいな所で紫の王子以外のID出ていませんでしっ… (2020年7月17日 6時) (レス) id: a7dddc0f96 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 完結おめでとうございます! (2020年7月17日 6時) (レス) id: a7dddc0f96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゅうく | 作成日時:2020年4月19日 13時