百六十六粒 ページ24
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「おー、意外」
するとやっぱり彼は私の考えを読んだようにそう言った。
まるで今までの君ならそう言わなかっただろうにね〜とでも言われてるみたいだった。
「んー、だって、1番でありたいっていうのはそれだけその人のことが好きだからなんですよ。
この人に認められたいって思うんです」
それはとても素敵な事だ。
それだけ好きでいられるってことは、それだけポジティブな感情が私の中にあるって事だから。
って最近思った。
今までは、画が強いなぁ、程度にしか思っていなかったのに。
私がそう言うと、彼はうんうんと頷いた。
「ちなみにさ、Aちゃんは誰の1番になりたいの?」
誰の、か。
これはまたまた難しい質問だったりして。
「…みんな、って言ったら笑います?」
でも彼は笑わずに私の頭を撫でてくれた。
「んーや、そんな事しない。
俺だってそうだから」
彼は続ける。
「出来ることなら敵なんて作らずにみんなから好かれたい。
誰かといて、この人の1番じゃないのかって思うと、ふと寂しくもなる」
ね、俺ら似てるでしょ?
彼の言葉に、私は頷くしか無かった。
「でもね、俺はこうなった原因を知ってるんだよ」
「原因?」
私がそう聞くと、彼は教えてくれた。
「そう、俺の場合だけどさ。
昔から認めて欲しい願望があるの。
…お兄ちゃんがね、お兄ちゃんばっかがね、親から可愛がられてたっていうか。
手のかかる子ほど可愛いじゃないけどさ。
いっぱい怒られてたけどいっぱい面倒見て貰えてて。
俺、いい子でいようと頑張ったけど、それでも適わなくて」
ふと、始まった、彼の言葉。
これは、今年の誕生日に、莉犬さんが出した動画でも聞いたことだった。
「あ、ごめんごめん。
これ動画で言ったことだし、君もリスナーさんだから知ってると思って言っちゃったんだけど、重いね」
そうへらっと笑う彼。
…笑ってくれなくてもいいのに。
そんな彼に私はこう言った。
「莉犬さん、でも、それはもう乗り越えてるじゃないですか」
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莉犬猫 - ななもり。さんだけidでてます (2022年6月18日 20時) (レス) @page43 id: a2185c14b6 (このIDを非表示/違反報告)
めーたん - 王子様を選ぶ所で選べないキャラがいたのでそのストーリーをみたいです! (2022年1月22日 9時) (レス) @page43 id: 0f93307700 (このIDを非表示/違反報告)
ツッツ〜 - なーくんのしかlD出てきません… (2020年8月18日 2時) (レス) id: 98be095f42 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - あと、何か最後の誰を選ぶ?みたいな所で紫の王子以外のID出ていませんでしっ… (2020年7月17日 6時) (レス) id: a7dddc0f96 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 完結おめでとうございます! (2020年7月17日 6時) (レス) id: a7dddc0f96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゅうく | 作成日時:2020年4月19日 13時