私、"彼ら"の給仕担当になりました【すとぷり】

百四十五粒 ページ2

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「お、来たか」







やっぱりそうだ。





私が見覚えがあったその車はさとみさんのものだった。
ほら、豆ちゃん拾った時にお世話になったものだ。








「あの、やっぱりどこに行くかだけ聞いてもいいですか？」








私はそう聞くが「んー、秘密ー」としか返ってこない。









…どこに連れてかれるんだろう。

だなんて不安になりつつも私たちを乗せた車は目的地まで迷うことなく進んで行った。









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「さー！着いたよ！」









そしてやってきたのは…大きな会場だった。





多分。









多分、というのはあまりこういう場所には来たことが無いから。





多分、イベントホールだと思われる場所である。









「あの、ここで何するんですか？」








私がその大きさに圧巻されているともりさんがにこにこしながらこう言った。









「何って、ライブだよ？」









ん゛？








ライブ？



こんな大きなところで？









と目をぱちぱちさせていると彼らは私の手を引いて中に入っていった。









よく見ると、「NHKホール」という文字がチラホラと見える。









…すとめも8か！








あの、あの、3周年を記念した大人組子供組で分けて開催されるあのライブ…！！









今までライブに行けなかった私。


初めて見るイベントホールに圧巻される。









「Aちゃん、すと8来れる？」








私がぐるりと周りを見ていると突然声をかけられた。








「あ、えーっと…その日は…ちょっと…」








しかしこの私の曖昧な返事。









もうちょっと早く告知があれば予定を抑えられたかもしれないのだが。





その日は祝日でもない休日であった。
だから両日とも予定が入ってしまって。









「…だと思った」








しかし意外にも彼の返事は軽かった。









「ツアーは？」









ツアー、か。



今年の夏に行われる全国ツアー。
何としてでも行きたい。


なんなら夏休みは絶対用事を入れないようにと人との用事はできるだけ6月中に済ませようと努力した。
うん。その結果6月の29、30に用事が入っているのだが…









「行きたいです、当たったら、絶対」








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