百六十一粒 ページ19
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「たーだーいーまーーーー」
一人でいた部屋の中に賑やかさが一気に戻った。
「あ!おかえりなさい!」
彼らのご帰宅だ。
「もーまじ疲れたー」
「ころん本番は転けるなよ?」
「るぅちゃんもフラフラしちゃダメだよー」
「莉犬だって!」
「Aーーー、お留守番ありがとなー」
口々にそう言われふふふとこの時間の楽しさを噛み締める。
あ、そうだ。
でも今日の私はやってみたいことが1つあったのだ。
「皆さん、聞いてください」
私の声にみんなの視線がこちらに向く。
「ご飯はできています、お風呂も湧いています」
私はにっこり笑ってこう言った。
「ご飯とお風呂、どっちにしますか?」
なんか、あるじゃない。
ほら、どっちにするか聞く女の子。
あれをやってみたかった。
彼氏がいない20の女が模擬体験したかったんだ。
許してほしい。
私がちらっと彼らの方を見ると何故か動かない皆様方。
私が小首を傾げるとさとみさんが口を開いた。
「…そこで、それとも私?って聞かないんだな」
…あれ。
「や、だって流石に彼ピッピでもない人達にそんなこと言えませんよ」
恥ずかしい。
なんだか気恥ずかしくなってしまった私がそそくさとキッチンに戻ろうとすると彼らは口々に聞いてきた。
「え、待って彼ピッピとかいるの?」
「聞いてないわ」
「どういうこと?」
「この仕事彼氏さん許したの?」
「…A、ゆっくり話してみ?」
「Aちゃん意外とやるねぇ」
いやいやいやいやいや。
迫り方が尋常ではない彼らの視線をするりと避ける。
そんなに彼氏いない歴=年齢の人間を悲しみの底に追いやりたいのかなぁ、もう。
「違いますー、彼氏のいない悲しき20の女が模擬体験してみただけですもん」
私はちょっとむくれたフリをして夕飯の準備を始めた。
…むぅ。
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莉犬猫 - ななもり。さんだけidでてます (2022年6月18日 20時) (レス) @page43 id: a2185c14b6 (このIDを非表示/違反報告)
めーたん - 王子様を選ぶ所で選べないキャラがいたのでそのストーリーをみたいです! (2022年1月22日 9時) (レス) @page43 id: 0f93307700 (このIDを非表示/違反報告)
ツッツ〜 - なーくんのしかlD出てきません… (2020年8月18日 2時) (レス) id: 98be095f42 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - あと、何か最後の誰を選ぶ?みたいな所で紫の王子以外のID出ていませんでしっ… (2020年7月17日 6時) (レス) id: a7dddc0f96 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 完結おめでとうございます! (2020年7月17日 6時) (レス) id: a7dddc0f96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゅうく | 作成日時:2020年4月19日 13時