百二十九粒 ページ43
.
「あー、ごめんごめん、攻めてるわけじゃないよ?
むしろるぅとくんにも過失はあるし、君の気持ちも分かるから」
多分どけど、と付け加える彼。
私が下を向いてそう言ったからだろうか。
彼は少し弁解してくれた。
「いや、でも彼は何も…」
そう、何もしていないはずだ。
多分。
「ほんとに?偶然カフェで会って偶然図書館で会って?
さらに一緒にお勉強しようとまで言ったのに何もしてないの?」
彼はこれでもかと言うほど畳み掛けてきた。
「…つまり、何が言いたいのでしょうか?」
それに少し押されつつも、私はちらりと彼の方を見た。
「それはハッキリとは言えないけど、るぅとくんの為にもね。
でもるぅとくんは君に好意を持ってるんだよ。
嫌いなわけがない。
だからるぅとくんも仲良くしたいって近づいたの。
それで君も近づいた、でしょ?」
好意、を持ってくれていた。
ハッキリとは言えないとは言いつつそう言ってくれた彼。
「だから俺から見てどっちもどっちなところがあると思うだよなぁ」とも付け加えた。
「確かに私も近づいたんです。
その、お恥ずかしい話、すごくタイプな人だったから…仲良くなれたらなって、思って」
私がごにょごにょとそう言うと彼は途端に面白そうくっふふ…と笑いだした。
「なに?るぅちゃんがタイプだったの?
まぁ、まぁ、かっこいいけどさ?」
と語尾にWが付いてそうな応えが返ってきた。
くっふふふ…と堪えながらも笑っている。
そしてまた「はー、そっかそっかー」と言いながら彼はこちらに向き直った。
「俺はてっきりなーくんとデキてると思ってたからなぁ」
「もりさん?」
まぁ、彼が私を雇おうとしたのを見てそう思ったのだと思うが。
「いやいや、いやーー、どうでしょう…」
素直に彼は私のことを恋愛対象と見ていないと思う。
.
1220人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆぅる - しゅうくさんは読者をキュンキュンさせる天才ですか?? (2021年12月6日 22時) (レス) @page11 id: b4dee99bf3 (このIDを非表示/違反報告)
しゅうく(プロフ) - ゆあもんさん» ゆあもんさん…!!神ではないですよ!?でも頑張りますね!ありがとうございます!! (2020年5月17日 11時) (レス) id: 547af1fa67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあもん - しゅうくさん神ですか?私毎回読ませていただいてます!もうねこの作品は神です!これからも応援するので頑張ってください! (2020年5月9日 12時) (レス) id: 9253ce94df (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - しゅうくさん» 全然です!!ご自分のペースで更新されてください!いつまでも待ってます! (2020年4月20日 14時) (レス) id: 3de2eab1b1 (このIDを非表示/違反報告)
あやの♪(プロフ) - しゅうくさん» 応援してます!(^^) (2020年4月19日 22時) (レス) id: 5ba2df906e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しゅうく | 作成日時:2020年3月17日 23時