百十九粒 ページ32
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「ごめんジェルくん、これは悪口じゃないけど信じたくないよ俺」
「なーくんそれどういう意味?」
「確かに僕も信じたくない」
「ころん?」
いや確かに本当に兄妹だったら信じられないだろうけど。
「あの、あれです。
近所のお兄ちゃんって意味でのお兄ちゃんなので…」
私がそろーっと言うと彼らは「なーんだ」と安心したように言った。
なんだろう、なーんだってなんだろう。
確かに私も実の兄妹には見えないのは認めるけどそこまで言うかなぁ。
ほら、確かにお兄ちゃんは頭良くて優しくて…いや、めちゃくちゃいい人だけど。
だからこそそれで兄妹に見えないというのはなかなか私に問題があるのでは…?
ちよっとショックを受けている私の肩を誰かが揺すった。
「A!!俺の質問に答えとらんやろ??」
よっぽど気になってる様で勢いが凄い。
「俺、なーくんの命の恩人って聞いてんけど。
何があったん…?」
かと思えばすごく心配そうに聞いてくる。
このお兄ちゃんはなかなかに過保護だったことを思い出して私がむしろ彼の頭を撫でた。
「そんなに心配することじゃないよ?
命の恩人とかって言えるほど素晴らしいことをしたわけでもないし私はこの通り平気でしょ?」
私の予想だときっと彼は私がもりさんを命からがら助けた命の恩人だとでも思っているはずだ。
だから私は平気だよー、と笑ってみる。
昔から心配しすぎてくれて逆にこちらが心配になる…だなんてこともしばしば。
そして私の予想通りに彼は「そうなん?」とほっとしたような顔をしてくれた。
「ちょっと具合が悪そうだったから家で休ませてあげただけだから」
しかし私がそう言うと彼はちょっとだけ眉を動かした。
あれ。
「…それは初対面で?」
「え、うん」
…変かな。
いや変か。
心配性のこの人なら心配するか。
やべぇ。とチラリともりさんを見ると、彼もまと私と同じような顔をしてこちらを見ていた。
「…なーくん、後でもうちょっとだけ聞かせて?」
…いや、私はご飯作るから。
もりさん、そんな助けを求めるような目で見ないでおくれ…
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ゆぅる - しゅうくさんは読者をキュンキュンさせる天才ですか?? (2021年12月6日 22時) (レス) @page11 id: b4dee99bf3 (このIDを非表示/違反報告)
しゅうく(プロフ) - ゆあもんさん» ゆあもんさん…!!神ではないですよ!?でも頑張りますね!ありがとうございます!! (2020年5月17日 11時) (レス) id: 547af1fa67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあもん - しゅうくさん神ですか?私毎回読ませていただいてます!もうねこの作品は神です!これからも応援するので頑張ってください! (2020年5月9日 12時) (レス) id: 9253ce94df (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - しゅうくさん» 全然です!!ご自分のペースで更新されてください!いつまでも待ってます! (2020年4月20日 14時) (レス) id: 3de2eab1b1 (このIDを非表示/違反報告)
あやの♪(プロフ) - しゅうくさん» 応援してます!(^^) (2020年4月19日 22時) (レス) id: 5ba2df906e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゅうく | 作成日時:2020年3月17日 23時