八十六粒 ページ47
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「俺、全部見せたよ。
甘えてる時の俺も、だらけてる時の俺も、仕事に追われてる俺も、今みたいに弱くなっている俺も。
そしてAはリスナーだから、頑張った上で輝けている俺も知っている。
全部知った上で俺と一緒にいてくれるって言うなら、俺は一緒にいたいんだよ。
カッコ悪くて、弱い、ななもり。じゃない俺は嫌い?」
…嫌いなわけがない。
また再びじわっと視界が歪んできた。
「…はは、ちょっと恥ずかしいね、俺のこと好きでいてくれている前提で話してる」
この人は、本当に優しい人だ。
私が、私が言って欲しかったことをすべて言ってくれて。
私だから一緒にいたいって言ってくれて、リスナーだからとか関係ないって言ってくれて。
「そんな、そんなの、好きに決まってますよ」
視界が歪んで喉が苦しくなって、声が震えながらもそう伝えた。
「あなたのこと、森さんとしても、もりさんとしても大好きですよ。
私の前でのんびりしてくれているあなたも好き、かっこよくみんなをまとめているあなたも好き。
ちょっと、弱くなっちゃう時もあるけど。
それも含めて大好きです。
だから、正直離れたくなくて。
そう言ってくれて嬉しかった。
…ありがとうございます」
最後まで言い切って頬に涙が伝うのがわかった。
正直もりさんが今どんな顔をしているのかがわからない。
「…イケメンだね」
だからそう言った彼の意図もわからなかったんだ。
「え?」
と聞き返した私に「んーん」と返した彼。
「そういえばころちゃんどこ行ったんだろ、誰かから電話貰ったっきりどっか行っちゃた」
が、しかし推しの名前が出た途端違う意味でビクッと体が震えた。
「こ、こ…!?」
泣きながらどういう反応をしていいのかがわからずに言葉を発せない。
横隔膜がひくひくする。う。
そんな私に「あー、ごめんごめん」と軽く流した彼。
「さー、帰るかー」
とぐっと伸びた。
「え、え、もりさんいいんですか??」
ころんくんどこか行ったって…
「まー、子供じゃないし帰れるでしょう」
スタスタと公園を出ていく彼の後を急いで追う。
……ろうな。
しかし、最後に発した彼の言葉はよく聞き取れなかった。
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しゅうく(プロフ) - ゆにぃさん» ありがとうございます(´;ω;`)やっと幸せにまとまりました…! (2020年3月17日 23時) (レス) id: 547af1fa67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆにぃ - え、泣きました() (2020年3月17日 20時) (レス) id: 68d7e1f8f1 (このIDを非表示/違反報告)
しゅうく(プロフ) - ハルカさん» わー!ごめんなさい…こんなシリアスシーンに…ご指摘ありがとうございます! (2020年3月14日 20時) (レス) id: 547af1fa67 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - すみません私も誤字してしまいました (2020年3月14日 20時) (レス) id: 796bfd041b (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - 誤字です痛いところを疲れた思った となってます さっきなんて、なんで となってます (2020年3月14日 20時) (レス) id: 796bfd041b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゅうく | 作成日時:2020年2月19日 23時