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「へぇー、なんか関西に住んでる従兄弟を思い出すなぁ。」
『あぁ、うん。
感覚としてはそっちのが近いかな…』
「でもあんな美形とずっと一緒にいて、ドキドキしたりキュンキュンしないの!?」
『しない。』
「即答…。
えー、私なんて初めて話しかけられた時、あまりのキラキラ具合に固まっちゃったよ!」
「あのキュッと上がった口角、ズルいよね!」
「目がすっごい綺麗だった!吸い込まれそう!」
「細い首に華奢なネックレスしてるのが色っぽい!」
お酒を流し込みながら彼女たちから次々に出て来る廉への賛辞は、どれもいまいちピンと来なかった。
確かに昔から見た目の造りは良かったが、私たちの関係性においてそれは、あまり大きな問題では無い。
私にとっての廉は、いつもスウェットのまま私のベッドの上を陣取ってグダグダとゲームしている、細いくせに食欲は旺盛な「わがままおぼっちゃま」だ。
そもそも、「カッコいい男子にキャーキャー言う」「浮ついた気持ちで恋話に花を咲かせる」なんて感覚とは無縁だった私。
長らく一緒にいたところで、「異性だから」ってだけでそう簡単に恋に転じることも無い。
だから驚いた。
初めての気持ち。初めての自分。
まるで微熱に酔うかのようにソワソワと落ち着かない、衝動的で急かされるような感覚。
ああ、これが恋か。
一目惚れなんて現象が、まさか本当にあるなんて。まさか、この私に起こるなんて。
今までは食事と休息のためでしかなかった「昼休み」と言う時間が、こんなにも特別なものになるなんて
知らなかった。
違う世界に迷い込んでしまったみたいだ。
サラサラの茶色い髪
アーモンド型の黒目がちな瞳
癖のある笑い声
くしゃっと顔中で笑う笑顔
この子たちはみんなこんな気持ちを、廉に対して持つのだろうか。
なんだかちょっと違う気がする。
こんな風にポンポンと言葉にすることなんてできない。
心の奥で、ひっそりと温めるだけで精一杯。
そんな、まだ生まれてさえいないような
不恰好で弱々しい感情だ。
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きのこ(プロフ) - ゆり:)さん» びっくりしたぁ、ゆりさんか!読み直してくれたんですね、ありがとう(^^)葉担が無理して書いたあーばさんでしたww(廉ドコ) (2021年5月26日 0時) (レス) id: 0a6f63d686 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり:)(プロフ) - 改めて、良いお話…きゅん。 (2021年5月26日 0時) (レス) id: 4c9de357d4 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ayuhaさん» むちゃくちゃあーばさんの顔文字使うじゃないっすかwwwあーばせんせぇは幸せになりますけど、幸せになるところは書けません!!だって!!現役の!!葉担だから!!(主人公にさえ嫉妬)(当方既婚)コメントはどうぞお気軽にww (2020年12月22日 0時) (レス) id: 0a6f63d686 (このIDを非表示/違反報告)
ayuha(プロフ) - きのこさん» ひぃ!なんてこと!!('◇')お見知り頂いているなんてびっくり過ぎて、ちょっと軽くコメントした自分…申し訳ないです(汗)でも嬉しいです!主人公ちゃんが幸せになれて嬉しいけど、先生がその後幸せになれたらもっと嬉しいよーー('◇')← (2020年12月21日 10時) (レス) id: 3d6cda5c80 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - おさるさん» ペロよりペロいかえたん!!きゃわわ!!いいホテルのひっろいベッドでギリッッッギリの寸止めプレ(自主規制)(ドSきのこ降臨)(れぇん、ごめんな)あーばせんせぇ!!私、頑張って目を覚ますから!!元気になったらお嫁さんにしてネ!!!(誰か来た) (2020年12月19日 10時) (レス) id: 0a6f63d686 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きのこ | 作成日時:2020年12月6日 18時