2 side...KAITO ページ3
「ただいまぁ〜」
『おかえりー』
いつも通りの自分の声に、いつも通りの声が返って来る。
今日はバイト、遅番なのかな。
リビングへ入ってチラッと掛け時計を見上げると、時刻は16時半。
一昔前のデザインのキッチンで、せっせと夕飯の準備をしている小さな背中に視線を送る。
海「ねぇAちゃん。金曜日って忙しい？」
『え？金曜？』
やっと振り返ってこちらを見たAちゃんは、化粧っ気の無い顔で目をほんの少し見開いていた。
『えーと、授業は4限までで…バイトは中番だったかなぁ。なんで？』
海「三者面談あるんだよね。
誰か保護者連れて行かなくちゃいけないんだって。」
『なんだ、それなら紫耀に頼みなよ！』
なんでもないように言われて、ほんのちょっと胸がチクッとする。
「保護者」としての参加を断られたからなのか、単純にその口から出た名前に傷ついたのかは分からない。
魚の小骨のような小さな不快さを忘れたくて、わざとスクールバッグをソファへ乱雑に放り投げた。
『あ！投げた！』と非難がましい声が聞こえたけど、無視してそのまま俺もソファへドサッと腰かける。
海「…なんで紫耀なの？
Aちゃんでもいいじゃん。
俺、Aちゃんに来て欲しいんだけど！」
『だって紫耀、金曜日ローテ休だって言ってたよ？それに紫耀のが年上だし社会人なんだから、やっぱり保護者として行くなら紫耀でしょ！』
…ま、そーかもしれないけど。
俺はAちゃんに来て欲しいって言ってんのに。
全然耳を貸してくれないのは、俺のこと子ども扱いしてるから？
それとも
俺のことなんか、どーでもいいから？
『紫耀にちゃんと話しておいてよ！
私、もうバイト行くから！ご飯、チンして食べてね！』
海「…はーい。」
洗面所でササッとメイクしてからバタバタと玄関を出て行くAちゃん。
帰りは多分23時過ぎ。
昼間は大学行って、帰って来て家事やってバイト行って。
なのに俺には「バイトするな」って言う。
「受験生なんだから、バイトより勉強しろ」って
「生活費はこっち2人でどうにかするから」って
いかにも親切そうに
2人揃って、俺のこと除け者にするんだ。
「感謝」より「嫉妬」が勝っちゃう俺って
やっぱりどっか
おかしいのかな。
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きのこ(プロフ) - pipi_kpさん» え〜マジですか！？すごい！まだ覚えててくださっただけでも嬉しいです🫰ありがとうございます！このぐらいの短編は珍しいですが、また書きたいな〜！ (2023年1月11日 0時) (
レス) id: 4ab1c623f5 (このIDを非表示/違反報告)
pipi_kp(プロフ) - きのこさんこんばんは。let goが久しぶりに読みたくなってこちらへ来ました。冬になると毎年このジンくんとしょうくんを思い出してます。何度読んでも好きです！ (2023年1月10日 21時) (レス) @page40 id: c4a2b088a0 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - キンシコウさん» いえいえ、あちらでもゆるっとよろしくお願いしまーすヽ(´▽｀)/ (2020年7月25日 18時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
キンシコウ - ありがとうございます！！マシュマロ、了解しました、わざわざありがとうございます。 (2020年7月24日 0時) (レス) id: 89ad9cb972 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - キンシコウさん» どぉぞ〜。鍵垢ですけど、無言での申請で大丈夫でーす！今、ツアーの件でマシュマロ荒れてますけど、気にしないで下さいww (2020年7月23日 23時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きのこ
| 作成日時：2020年7月1日 23時
