17 side...KAITO ページ18
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「あれっ、海人また泣いてるの？
じゃあ私が魔法をかけてあげる！
見て見て、このバトン！お誕生日に園長先生からもらったの！」
プラスチックでできた、派手なピンクのバトン。
すぐに取れてしまいそうなおもちゃの宝石がたくさんついたソレを、両手で嬉しそうに握りしめているAちゃん。
部屋の隅で体育座りしたままベソかいてた俺は、何も言わなかったけど
『魔法をかけるから、心の中でお願いごとを言ってね！シャラシャラ〜〜ポンッ☆』
いかにも安っぽいピンクの棒が、頭の上でクルクルと回る。
なぜか目が離せなくて
自然と視線が吸い寄せられて
だって俺、本物の宝石なんて見たこと無いし
本物の魔法のバトンも、見たこと無いし
だからつまり、言われるがまま
俺にとってはコレが
「唯一無二の魔法のバトン」
ってことで
まだ幼い頭に、インプットされてしまった。
口を開けたまま呆気に取られていた俺の正面に、満足そうなAちゃんが膝を抱えて座り込む。
『はい！』
海「…え？」
目の前に差し出されたのは、一粒のストロベリーキャンディ。
『今、�爐�やつ食べたい”ってお願いしたでしょ！？だからコレあげる！ホラ叶った！！ホントに魔法でしょ！？』
すっごく得意げにニコニコしてるAちゃん。
俺のお願いは、�爐�やつ食べたい″とは違うことだったけれど
気づけば、なんだか操られるようにそのキャンディを摘んで、口の中へ放り込んでいた。
Aちゃんは泣き止んだ俺の隣にちょこんと座り込んで、「美味しい？」と俺の顔を覗き込んでいる。
溶けた飴は俺の血に溶け出して、そのまま全身へと巡って行く。
そう、この時だ。
俺は、魔法にかかってしまった。
それは今も続いていて
きっとこの先も解けることなんて無くて
痛いほどに甘く
俺のことを包むように、縛りつけて行く。
海「…美味しい。Aちゃん、ありがとう。」
『ふふふ、どういたしまして！』
この日から俺は、魔法使いの弟になった。
ずっと馴染めなかった児童養護施設も怖くなくなった。
寒い夜は内緒でAちゃんのベッドへ行って、1つの毛布に一緒に包まって眠った。
分かち合えるものは、それぐらいしかなかった。
ホントは、甘く染まった俺の全部を
余すことなく
あげてしまいたかったんだけど。
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きのこ(プロフ) - pipi_kpさん» え〜マジですか！？すごい！まだ覚えててくださっただけでも嬉しいです🫰ありがとうございます！このぐらいの短編は珍しいですが、また書きたいな〜！ (2023年1月11日 0時) (
レス) id: 4ab1c623f5 (このIDを非表示/違反報告)
pipi_kp(プロフ) - きのこさんこんばんは。let goが久しぶりに読みたくなってこちらへ来ました。冬になると毎年このジンくんとしょうくんを思い出してます。何度読んでも好きです！ (2023年1月10日 21時) (レス) @page40 id: c4a2b088a0 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - キンシコウさん» いえいえ、あちらでもゆるっとよろしくお願いしまーすヽ(´▽｀)/ (2020年7月25日 18時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
キンシコウ - ありがとうございます！！マシュマロ、了解しました、わざわざありがとうございます。 (2020年7月24日 0時) (レス) id: 89ad9cb972 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - キンシコウさん» どぉぞ〜。鍵垢ですけど、無言での申請で大丈夫でーす！今、ツアーの件でマシュマロ荒れてますけど、気にしないで下さいww (2020年7月23日 23時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きのこ
| 作成日時：2020年7月1日 23時
