Lφve Rainbow 2 【Kaito.T】

おまけのおまけ side...KAITO ページ24

『ありがと！また明日、学校でね！！』




中間テスト最終日。




テスト期間中はバイトがお休みだから、珍しくちょっと寄り道してから夕飯の前に送り届けた、Aちゃんの家。





同級生の彼女と制服のまま歩き回る街中は、なんかもうそれだけで新鮮で


学校でみんなに「え！高橋と佐藤、付き合い始めたの！？！？」なんておおっぴらに驚かれるのすら、なんかちょっとくすぐったくて


「普通である幸せ」って、きっとこの年で噛み締めてんの、俺だけなんだろーなー…なんて思いながらも



結局のところ、どうにもこうにも浮ついた毎日を過ごしていた。





「バイバイ」なんて手を振って、Aちゃんが家の中に消えたのを見届けてからクルッと向きを変えたら





「あっ。」





久しぶりに顔を見た6年生の弟が、もうかなり窮屈そうな黒いランドセルを背負って、そこに立っていた。




「久しぶり〜」




軽い調子で声をかけたものの、彼からは返事が無い。




はて。



もしかして俺のこと、忘れちゃった？？





なーんて首を傾げてたら、まだあどけない顔が段々と苦々しく曇り始め


みるみると野生の鷹のように冷たく鋭く変化した視線を


遠慮もなく、ポケットに手を入れて突っ立ってる俺の方へと向けてきた。






「………俺、許さないよ。」




海「…え？」




「………どんだけ金持ちなんだか知らないけど。姉ちゃんに彼氏なんて…俺、絶対に許さないから。」





憎しみの炎が揺らめく眼差しだけを残して


弟は俺の横を影のようにスルリと追い越し、年季の入った一戸建ての平屋へと吸い込まれて行った。






海「………へー………そう来るの。」





どこかで見た瞳。




そーいやアイツ、あのとき俺に折り紙で作ったカレー寄越しやがったよな…。


やったら完成度高いヤツ。…あれ、嫌味だったんかい。







和やかなカオスだとばかり思っていた家をチラリと見上げながら、なんとなく





「岸くん、元気かなぁ…」





なんて考えちゃう俺の目って、今現在どんな色してるんだろ。








ぽけーっと突っ立ったまま考えてみたけど






すっかり平和ボケした頭では





残念ながら





予想すら、つかなかった。






【END】

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