Lφve Rainbow 2 【Kaito.T】

おまけ side...KAITO ページ23

Aちゃんが帰ったあとのホテルの部屋は、なぜかもう1人でも寂しくはなかった。





ゴールデンウィーク最終日の午後。


雨上がりの見事な晴天に誘われて、昨夜と同じようにフラリと中庭へ出てみる。





結局あのあと、怪訝そうな顔を見せるAちゃんに「拒否権、無いからね☆」とブラック全開で微笑みかけた俺は、ほぼ強制的に棒読みの「YES」の返事をもぎ取った。




「まぁ…客観的に考えれば私にとっては勿体ないぐらいのお得な話ですけど……」



と、何やら俺に聞こえないようにブツブツ言ってたけど




まぁ、そんな言い草でいられるのも今日までの話だよ。




「俺の物」になったら、てってぇぇー的に俺好みに調教すっかんね。





大人になるまで、時間はたっぷりある。





けどAちゃんと一緒にいると魔法みたいにすぐに過ぎていっちゃうから、油断は禁物。




毎日を無駄にせず、後悔しないように過ごさないと。




今まで1人でボーッとしていた無為な時間も、きっと埋められる。





だって窓の外の世界は、こんなにも美しいんだから。





空には、透き通るような大きな虹。





思わず写真を撮ろうと撮り出したスマホ。




ちょっと考え込んでから、LINEでちょっと久しぶりのアイコンをタップする。





かいとこの前はヒドいこと言ってごめんね。大好きだったよ。幸せになって




短いメッセージを送ったあとに虹の写真をカシャカシャと撮っていたら、ピロン！と返信を告げる通知が現れた。





マッチ離任式、サボったくせに。






海「…………………………。」





ほんの一瞬考え込んだあと、またしてもポチポチとメッセージを打つ。





かいとアリーナじゃなかったけど、ちゃんと見てたよ?まちだせんせぇ!





ま、その人のためを想う嘘なら、それもまたアリでしょ？…なんて思いながら足を進めてたら、またしてもスマホがピロン！と鳴った。






マッチ私、町村だけど。








…………やっぱり俺、自分で思ってるより抜けてんのかも。






ふー…っと深い溜息をつきながら見上げた初夏の虹は







それでもやっぱり




泣きそうになるぐらいに、綺麗だった。







【END】

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