P・A・R・A・D・O・X【SHO】

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翌週の金曜日。



少し前に納品したアプリが正式にリリースされ、スタートが予想以上に好調と言うことで、急遽みんなで祝賀会を開くことになった。





松本さんが連れて来てくれたのは、おしゃれなモツ鍋屋さん。久しぶりの大人数での飲み会で、自然とテンションも上がる。




紫「せぇんぱいっ！飲んでるぅ？」




山盛りの取皿ごと、紫耀くんが私の隣に移動して来た。アルコールの匂いに混じって、すっかり慣れた甘い香水の匂い。




『飲んでるよぉー！！紫耀くんは？』




紫「俺も今日はお酒やねん！！お祝いやし！
このアプリのことは全然知らんけどな！！」




『…まぁ、紫耀くんが来る前に納品したモンだからね…。』




紫「でもええやん、嬉しいことはみんなで喜んだ方が！！俺もなんか嬉しいしぃ！！」




腕組みした手をテーブルの上に載せて、にっこり笑いながら私の顔を覗き込んで来る。



…そーゆーことをするから、すぐに勘違いされるんじゃなかろうか。


それとも無意識なんだろうか。
恐ろしい子………





松「あれ？なんだ岸、あんま飲んでねーじゃん。明日何か用事でもあんの？」




斜め向かいで、松本さんが岸さんの手元のジンジャエールを不思議そうに眺めている。




岸「いやー、今日はこんぐらいにしときやす！
さっせん！元々あんま強くないし…それに、コイツのこと送って行かなきゃならないんで！」




岸先輩がクシャッとさせた笑顔で私の方を見ている。




え？私？？





廉「え？
でも優太んち、Aんちと逆方向ちゃう？
別に俺なら酒強いし、こっからなら紫耀が同じ方向やん。無理してセーブせんでも、誰か送るやろ。」





妙に冷静な永瀬の言葉に、岸先輩は苦々しい表情を見せた。





岸「…だってお前ら、なんか信用できねーんだもん。」




廉「はぁっ！？！？どーゆー意味やねん！！」




紫「岸先輩ひどぉい！！
俺らのことそんな風に思ってたのぉ！？！？」





なぜ、紫耀くんはちょっとオネエ入ったんだろうか。




私の話なんだろうけども、いまいち何と言っていいか分からず…てゆーか1人で帰れますけど…



ちょっと困りながらちびちびとカシスソーダを舐めていたら、岸先輩の隣の松本さんが、あはは…と呆れたような笑い声を上げた。

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