P・A・R・A・D・O・X【SHO】

11 side...YUTA ページ11

1人で蕎麦食べながら気合入れた昼休み明け。


午後からは他社で打ち合わせ。
少し早めに休憩を切り上げて、コートと鞄を持って会社を出る。




…俺、よく道に迷っちゃうからさ。




早めに向かうに越したこと無いんだよね。





廊下を歩いていたら、給湯室の方から女の子たちの話し声が聞こえてきた。




「やっぱダメだぁ、平野さん！飲み会まで持って行けない！！」


「あのレベルだと、連絡先すらそう簡単にはゲットできないねぇ〜…」


「てか井上さんが！！本気で邪魔！！
いっつも誘おうとすると白々しく話変えたり、急いで戻らなきゃならないフリしたりしてさぁ！！何なのアレ！！」


「どうせ平野さん狙いなんでしょ！
絶対無理なのにねー、レベル的に。」


「あーあ！！どうにかなんないかなぁ…。
永瀬くん繋がりで頼んでみる？？」


「永瀬くんもチャラいように見えて案外ガード固いよ？話しかけても全然目ぇ見てくれないの！」






廉は、ガード固いんじゃなくてただの人見知り……



ってのは置いといて。





…平野のせいで、Aが反感買ってんじゃん…




なんだよソレ。
Aは良かれと思ってやってんのに。



そもそも平野が自分で断れば済む話じゃねーか。




やっぱアイツ、なーんか信用できねーよ。






そんな風に思いながら外出を終えて、夕方になってから戻ってきた会社の最寄駅。




改札を出てふと横を見ると、近所の女子大生数人と平野の姿。


あれっ、もしかして何かモメてる…？？


一応俺も同僚だし、「どうかした？」って声かけた方がいいかな…

なんて思って近づこうとしたら…






紫「ごめんな？
俺一般人やし、何に使われんのかわからんの怖いから、写真とかやめてもらえる？」







冷たい目で微笑む平野の、毅然とした口調。





なんだよ。




お前、全然自分で断れるんじゃねーか。





アイツ、やっぱ騙されてんじゃん。





ずっとモヤモヤしていた何かが




この瞬間



俺の中で



はっきりと、形を持った気がした。

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