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「きっと八つ裂きにされるんだぜ」
「するか」
馬鹿なのか。
「悪いようにはしないと思うぞ」
「だったらフツーに家に帰してくれりゃいいだろ」
「何か話したいことでもあるんだよ。そう怖がるなって」
というか、あれだけヤクザを蹴散らしといて今更怖いとか無いだろ。
「3代目、ただいま戻りました」
ギンがそう言って玄関の扉を開ける。
その後ろを俺たち学生組が続いた。
「戻ったか、ご苦労だったな」
居間から出てきた叔父さんは、相良に抱えられた俺を見て小さく鼻で息をついた。
多分、安心してくれたんだろう。
「お嬢、足を拭きましょうか」
アルが人肌に温めた濡れタオルを持ってきてくれた。
抱えられたまま足を拭いてもらい、玄関の床に下ろしてもらう。
「怪我は」
「腹と背中が痛むぐらい」
「アル、医者を呼んでおいてやれ」
「はい」
「猛、ご苦労だったな」
くしゃり、と相良の頭を撫でる叔父さん。
黙ってそれを受ける彼の姿に、背後にいた三橋と伊藤が固まっていた。
「智司とテツは車だな。…それで」
叔父さんは三橋と伊藤に目を向けた。
「おめぇさんたちがAの友人か」
「コ…コンバンワ」
「オセワニナッテマス」
「はっはっは!怖がるこたぁねぇ。取って食ったりはしねぇさ。…上がりなさい。少し話をしよう」
「「………………」」
緊張した様子で、でも叔父さんの優しい顔にあてられてソロソロと靴を脱ぐ二人。
「3代目。往診ですが、向こうで急患が入ったようで、2時間程はかかると」
「問題ねぇさ。…うちの都合だ。先生には詫びを入れなきゃな」
戻ってきたアルにそう言って、叔父さんは俺たちを全員を居間に通した。
…客間じゃないのか。
「お嬢」
「なに?」
「今何か欲しいものはありますか?」
痛み止めとか氷とか…と、アルは俺の怪我のことを気遣ってくれた。
けど、急に空腹を思い出してアルを見上げる。
「おなかすいた」
アルは驚いたように目を丸くして、次の瞬間にはブハッと吹き出した。
「ぶふッ…わ、わかりました。じゃあオムライスでも…っ…作りましょうか」
笑いすぎ。
「え!?オムライス!!?Aズリー!!俺も腹減った!!」
俺らのやり取りが聞こえていたのか、急に三橋が入ってくる。
そして響く腹の虫。
二人分…ってことは、伊藤もか。
「オメーら飯食ってなかったのかよ」
「そうか、そういえばバイト終わりに俺を見かけたって言ってたもんな」
「では3人前ご用意しましょうか」
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黒のコ屋(プロフ) - ぬんさん» えっ、好き…(唐突) はっ、失礼致しました!コメントありがとうございます!4周もしてくださるなんて…感激です。これからも楽しんでいただけるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします! (2022年10月6日 17時) (レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - この作品面白過ぎて4周しました( ˙-˙)。スランプ気味になりますよね…分かります。程々に頑張って下さい! (2022年10月5日 8時) (レス) @page36 id: 698b0f2dcc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒のコ屋 | 作成日時:2022年9月22日 11時