検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:12,291 hit

51-5 ページ14

.


「きっと八つ裂きにされるんだぜ」
「するか」

馬鹿なのか。

「悪いようにはしないと思うぞ」
「だったらフツーに家に帰してくれりゃいいだろ」
「何か話したいことでもあるんだよ。そう怖がるなって」

というか、あれだけヤクザを蹴散らしといて今更怖いとか無いだろ。

「3代目、ただいま戻りました」

ギンがそう言って玄関の扉を開ける。
その後ろを俺たち学生組が続いた。

「戻ったか、ご苦労だったな」

居間から出てきた叔父さんは、相良に抱えられた俺を見て小さく鼻で息をついた。
多分、安心してくれたんだろう。

「お嬢、足を拭きましょうか」

アルが人肌に温めた濡れタオルを持ってきてくれた。
抱えられたまま足を拭いてもらい、玄関の床に下ろしてもらう。

「怪我は」
「腹と背中が痛むぐらい」
「アル、医者を呼んでおいてやれ」
「はい」
「猛、ご苦労だったな」

くしゃり、と相良の頭を撫でる叔父さん。
黙ってそれを受ける彼の姿に、背後にいた三橋と伊藤が固まっていた。

「智司とテツは車だな。…それで」

叔父さんは三橋と伊藤に目を向けた。

「おめぇさんたちがAの友人か」
「コ…コンバンワ」
「オセワニナッテマス」
「はっはっは!怖がるこたぁねぇ。取って食ったりはしねぇさ。…上がりなさい。少し話をしよう」
「「………………」」

緊張した様子で、でも叔父さんの優しい顔にあてられてソロソロと靴を脱ぐ二人。

「3代目。往診ですが、向こうで急患が入ったようで、2時間程はかかると」
「問題ねぇさ。…うちの都合だ。先生には詫びを入れなきゃな」

戻ってきたアルにそう言って、叔父さんは俺たちを全員を居間に通した。
…客間じゃないのか。

「お嬢」
「なに?」
「今何か欲しいものはありますか?」

痛み止めとか氷とか…と、アルは俺の怪我のことを気遣ってくれた。
けど、急に空腹を思い出してアルを見上げる。



「おなかすいた」



アルは驚いたように目を丸くして、次の瞬間にはブハッと吹き出した。

「ぶふッ…わ、わかりました。じゃあオムライスでも…っ…作りましょうか」

笑いすぎ。

「え!?オムライス!!?Aズリー!!俺も腹減った!!」

俺らのやり取りが聞こえていたのか、急に三橋が入ってくる。
そして響く腹の虫。
二人分…ってことは、伊藤もか。

「オメーら飯食ってなかったのかよ」
「そうか、そういえばバイト終わりに俺を見かけたって言ってたもんな」
「では3人前ご用意しましょうか」

51-6→←51-4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (46 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
35人がお気に入り
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

黒のコ屋(プロフ) - ぬんさん» えっ、好き…(唐突) はっ、失礼致しました!コメントありがとうございます!4周もしてくださるなんて…感激です。これからも楽しんでいただけるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします! (2022年10月6日 17時) (レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - この作品面白過ぎて4周しました( ˙-˙)。スランプ気味になりますよね…分かります。程々に頑張って下さい! (2022年10月5日 8時) (レス) @page36 id: 698b0f2dcc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:黒のコ屋 | 作成日時:2022年9月22日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。