サンタさん ページ40
「………え？」
お母さんから聞くはずのない“佐野”という言葉に耳を疑う。
思わず熱湯をひっくり返しそうになって我に返った。
「なに、さの、なんで？」
「袋に小さく書いてあったのよ」
突然挙動不審になった私をニヤニヤした顔で見つめながら
「………彼氏？」
「なっ、違うよ！！女の子だって」
「え〜、なーんだ」
お母さんはあからさまに残念そうな表情をして、またテレビに顔を戻した。
ヤバかった。
必死に平静を装って紙袋を手に取って二階に上がる。
右手にはミルクティー、左手には紙袋。
当然のように足でドアを開ける自分に嫌気がさす。
こんなんだからゴリラって言われんじゃん。
「さの、さの、って……」
佐野くん、だよね？
咄嗟に女の子だと嘘をついたけれど、私の知り合いに佐野は一人しかいなかった。
紙袋の側面を見ると、確かにそこには小さく名前が書かれていた。
相変わらず下手くそな字に心が弾んだ。
ああ、佐野くんだ、これ。
なんだか開けるのが怖くて、じーっと穴が開きそうなくらい紙袋を見つめたけど、当然中身は分からなくて。
「……よし」
意を決して紙袋のテープを剥がす。
その時の私の顔も、気持ちも、
まるで25日の朝の子供のようだっただろう。
中身はラッピングされた小さな包みとメモだった。
「……なにこれ」
その中には小さな怪獣がいた。
佐野くん、本当に私を何だと思ってるんだろう。
付いていたメモを開くと、そこには私の好きな佐野くんの字が並んでいた。
メリークリスマス
お前に似てたからあげる。
これからもよろしく。
佐野サンタ様
「……また？」
佐野くん、これ、女の子に似てるって言ってあげるもんじゃないよ。
この間のストラップもそうだけど。
菜々香にはこんなのあげてないだろうか。
いや、さすがにないか。
しかも、佐野サンタ様って。
本当に小学生みたい。
手紙を書く佐野くんを想像したら思わず笑みがこぼれた。
「……似てるの？ねぇ」
返事するはずのない怪獣に答えを求める。
似てると思って、私のことを考えて
彼女でも何でもない私に買ってくれたの？
彼女がいるのに、友達なのに
思わせぶりなことをする佐野くんが嫌だった。
「ほんと嫌い」
そんなの嘘だ。
本当は今すぐ佐野くんのところへ飛んで行きたかった。
似てないよって、バカだなって、
ありがとうって
佐野くんの目をみて、伝えたかった。
どうしようもなく、佐野くんに会いたかった。
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ど根性みかん - このお話凄く大好きです！読んでいて切なくなります。早く続きが読みたいです！これからが楽しみです！ (2019年3月19日 22時) (
レス) id: c0b50274da (このIDを非表示/違反報告)
きのぴお(プロフ) - はすおさん» コメントありがとうございます！！そんなふうに言っていただけるなんて、涙が出るくらい嬉しいです(；ω；)なかなか上手く重ならない二人ですが、あたたかく見守っていただけますと嬉しいですm(_ _)m(笑) (2018年2月13日 21時) (レス) id: 03a3cd796e (このIDを非表示/違反報告)
はすお(プロフ) - んーーー！！めっちゃ読み途中で｢心配｣読み終わったとこなんですけどちょっと好きすぎて！！最高です！！素直になれない玲於可愛すぎます｡｡｡主人公とのすれ違いに叫びそうになる｡｡｡素晴らしい作品ありがとうございます、これから続き読んできます笑笑 (2018年2月13日 19時) (レス) id: 2c6c075be9 (このIDを非表示/違反報告)
きのぴお(プロフ) - かもめさん» コメントありがとうございます！！感動だなんてそんな…(；ω；) 勿体ないお言葉です(笑) これからも精一杯頑張りますので、よろしくお願い致します(*^_^*) (2018年1月25日 20時) (レス) id: b8deaede14 (このIDを非表示/違反報告)
きのぴお(プロフ) - ゆいさん» 温かいお言葉ありがとうございます(;_;) 続編ではもっと自然に現代に繋げていけるようなお話を考えていきたいと思いますので、読んでいただけますと嬉しいです(*^_^*) 勧めていただくのに恥ずかしくないような作品に頑張って作り上げていきたいと思っております(*^_^*) (2018年1月25日 20時) (レス) id: b8deaede14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きのぴお
| 作成日時：2018年1月3日 1時
