anthos/気象on (ページ46)

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プリムラの蕾12 ページ46

シャワー浴び終わって戻ると、すでに大野さんは俺の布団で寝ていた。
隅っこで小さくなって、なんか猫みたい。

時々、かふっ…て寝息が聞こえる。な
ちょっと口が開いてる。

今日は、まだ起きて卒論する予定だったけど…無防備な大野さんに吸い寄せられるように、大野さんに向き合うように、俺もベッドに横たわる。

まつげ長いな…鼻筋通ってる。
唇の形も良くて、眉毛はちょっと下がってる。

キスした時には当然、こんなにゆっくり見れなかったから、じっくり堪能させてもらう。

見られてるからかな
ちょっと居心地悪そうに大野さんの顔が歪んで、目が薄く開く。
俺を捉えた大野さんが、ふにゃって笑う。

｢ニノ…｣

掠れた、吐息みたいな声で名前を呼ばれて、それだけでもうどうしようもなくなってしまう。

｢おやすみ、大野さん。電気消すね｣

｢ん…｣

誤魔化すように軽く上半身を起こして電気を消すと、もう何も見えないくらい真っ暗な闇になる。

そんな愛しそうに呼ばないでよ。

大野さんに当たらないようにまた身をベッドに沈めて、眠ろうとすると、大野さんがおれを抱きしめる。

やばいやばいやばいやばい
心臓、こんなにシンとしてるのに聞こえてないかな。大野さんの規則正しい寝息を聞きながら、それに呼吸を合わせて、何とか落ち着こうとする。

多分、多分、この泣きそうな気持ちは、幸せなんだと思う。

眠ってるからどんどん体温が上がって、温かい大野さんに身体を擦り寄せる。
ずっと好きだって思ってた人が、今俺のことを抱きしめてる。その事実が嬉しくて苦しくて、どうにかなりそうだった。