キミハカルマ （中）

高校生編 54 ページ6

廉side


台風が過ぎた翌朝。
体調は最悪やった。頭痛がする。まだ熱は出てへん気がしたから、とりあえず学校へ。


センセイの顔…やっぱみたいし。
別れるつもり…やけど。


「廉、しんどいの？」
「海人は元気やな…」
「朝ごはんしっかり食べたからね〜♪」


ガチで普通な海人。
馬鹿は風邪ひかんてやつやな。



朝のホームルーム。
保健体育の中島先生がやってきた。



「中島せんせー！ジン先生は？」
「今日は風邪で休みだ」


出欠確認が始まる。
センセイとのトーク画面を開く。何も連絡はない。


熱、高いんかな？
ご飯食べとる？
薬…病院行けたんかな？


俯いて考える。


もしかしたら元カノさんに頼ってるかも…


俺に連絡ないもん…


別れようと思っとったくせに、鼻の奥がツーンとした。



会いたい…



あっ、俺しんどいし早退すればええんや！！



よし、と思って声を出そうとしたときーー



「何やあれ？高そうな車やな〜」
「うわっ！グラウンドの真ん中に止まった！」
「マトリックスみたいな人出てきた！」


窓際の席がざわつき出す。
海人が野次馬的に窓際に移動して、「ガチか」と言った。



そして俺をみた。



「廉、お兄さん…」



「は…？」



時が止まる。



「うわぁ、ディアブロじゃん」



中島先生も外を見ている。



なんできたんだよ。


夏休みまだやで？



「あれ、SHOに似てへん？」
「あ、ほんまやな」
「撮影？」
「なんの？」


ヤバイ…


このままSHOが教室に入ってきたりしたらっ



中島先生に何か言う余裕もなく教室を飛び出す。
上履きのまま、ぬかるんだグラウンドへ。





サングラスをかけて、ただ立ってるだけやのに目立つなや。


その高そうな車はなんやねん。


てかなんでそんなとこで電話してるん？



言いたいことはいっぱいあるのに、息が上がって言えへん。



兄貴を睨みつけるのが精一杯やった。

高校生編 55→←高校生編 53

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す