キミハカルマ （上）

高校生編 45 ページ45

神side



試験も残すところあと2日。
今日は生徒にとっては追い込みの週末。


「もうすぐ夏休みだな〜」
「……」
「台風出来てるんだってさ。直撃しないといいよな〜」
「……」


俺の言葉は廉にスルーされる。まぁ、仕方ない。廉は勉強中だから。
午前中連絡したら、気分をかえて喫茶店で勉強をしてると返事が来た。で、勝手に合流。


嫌な顔をしつつ、一緒にいることは許され現在に至る。私服で喫茶店。俺的にはデート中という認識。


廉の勉強してる姿を眺めたり、写メしたり。
ほんと、美人だよな。首から肩のラインも綺麗だし、今度こっそり寝てるとこも撮ろっと。


なんて妄想していたら時間はあっという間だった。


「あのさぁ、盗撮とか捕まるで？」
「なんで恋人の写メとるのが盗撮なんだよ」
「ヒマやったんなら帰ればええのに」
「廉の顔見てるだけで俺はいいんだよ」
「アホちゃうか」


顔を赤くして睨んでくるのが可愛い。
廉がジュースとサンドイッチを注文して、遅めの昼食をとる。俺は、パクパクと食べる廉を眺めながら、コーヒーを飲んだ。


「夏休みだな」
「うん」


受験生の夏休みなんて勉強漬け確定だけど。恋人として話題にせずにはいられない。
だって、廉は寮に残るはずだし。


「1日だけでもさ、ちょっと遠くのお祭りにでも行くか？ 」
「……アホか。どいつもこいつも受験生舐めてんのか」
「ぅん？息抜きも大事だぞ」


廉がため息を吐く。
そしてケータイを取り出し、操作をしてテーブルの上に置いた。



「兄貴から」
「予約番号…飛行機？」
「勉強はどこでもできるから戻ってこいやと」
「……なるほど」
「なるほど、やないわ！東京でゆっくり勉強できるわけないやん！」


いや、そこ俺にキレられても。
確かに東京は誘惑多いけど。紫耀の言うことも一理あると思うよ？


「てか、チケット2人分？」
「……恋人と来てもいいんやと」
「……殺されに来いって？」


紫耀は基本、ノリが良く温厚な人間だ。が、廉が絡むと鬼。悪魔。


未成年と付き合ってるんだし、「お兄さん、お付き合いさせてもらってます」と言うのが礼儀か？



「廉は俺の」と真顔で言い切った男に…言う？



いやでもいつかは言わなきゃだし…



「よし、俺今日から筋トレするわ」
「は？」
「もしもに備える」
「なんのもしもやねん」



俺はこのとき



高橋の存在が気がかりとか



紫耀に勝たなきゃとか思ってて。




大事な事を忘れていた

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