高校生編 13 ページ13
紫耀side
「お疲れ様でしたー!」
「お疲れ様でーす」
てっぺんを超えてはや数時間。やっと終わった撮影現場には、演者・スタッフの声が入り乱れる。
楽屋に戻ると、岸くんが笑顔で出迎えてくれた。
「紫耀、お疲れ様!」
「岸くんもおつかれ〜」
冷たいココアを手渡され一息つく。
4時間後にはまた撮影だから、早く家に帰って寝なきゃなんだけど。楽屋のイスに腰を下ろしたら、なかなか立ち上がれなかった。
「疲れてんな」
「映画やって、舞台やって、ドラマやって、間でCMとバラエティーして、で、またドラマ…去年の秋くらいから俺休みなくない?」
「ええっ!俺そんな鬼みたいなスケジュール組んでたか!?」
「……自覚なしかよ」
「連休はないけど、半休とかさーー」
手帳をめくってオロオロする岸くん。まぁ、売れて金を稼ぎたいって言ったのは俺だからいいんだけど。限度ってあるじゃん?
それにたまの休みも、案外大人の付き合いとかで潰れるし。
廉は俺から逃げるし。
「あ〜廉に会いてぇ」
「紫耀ってさ…昔からそうなの?」
「何が?」
「ブラコン」
数秒、岸くんと見つめ合う。
「おかしい?」
「いや、俺も妹いるから気持ちわかんだけど…」
岸くんの疑問とするとこはわかる。
今まで何度も言われた。
“兄” “弟” でそれはおかしくないかって。
異常だって言ってきた奴もいた。
そんな奴、ボコボコにしてやった。
「廉が2歳の時に親が死んで…そっからかな。俺が廉を一生守るんだって決めたの」
親が死んで、関西からばぁちゃんが来てくれて、東京で俺たちを育ててくれた。そんなばぁちゃんも、廉が中学校を卒業する前に亡くなって…
俺たちはたった2人の兄弟だから。
廉を守るのは俺の役目で、俺の優先順位は廉が1番。
それは彼女が出来たってかわらない。廉より自分を優先しろなんていう女は捨ててきた。
他人がどんなにうらやむ彼女でも。
俺の絶対を否定する奴はいらない。
「おかしいのかな…」
「おっ、おかしくねーよ!お前は弟思いのいい兄貴だよ!弟の学費稼いでる紫耀を、俺は尊敬してるぞ!」
全力で否定してくれる岸くん。
優しいよね、バカだけど。
「ありがとね、岸くん」
岸くんの運転でマンションに帰りながら、ケータイを確認する。
神とのトーク画面が数日前から更新されていない。
あと1週間。
修学旅行で、廉が東京に来る。
少しでも会いたいーー
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不破銀ちゃん(プロフ) - angeltemptationさん» おそらく、マイページにある設定を開いて、私は18歳以上です!みたいな項目を「はい」に変更すれば、表示されるようになると思います(^^)マイページの設定が18歳以下になってると、確か表示されなかったと! (2019年7月20日 7時) (レス) id: 834990f38c (このIDを非表示/違反報告)
angeltemptation(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます。お話の裏置き場にアクセスしたいと思いましたが作品の一覧に掲載されていない為読めていません。どこからアクセス出来ますか? (2019年7月19日 18時) (レス) id: eb72bacff0 (このIDを非表示/違反報告)
不破銀ちゃん(プロフ) - Renkonさん» コメントありがとうございます!楽しみに思って頂けて嬉しいです!睡魔とたたかいながら頑張ります(笑) (2019年5月16日 13時) (レス) id: 834990f38c (このIDを非表示/違反報告)
不破銀ちゃん(プロフ) - naさん» ありがとうございます(^^)じぐれんはここから切ない感じになりますが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです( ; ; ) (2019年5月16日 13時) (レス) id: 834990f38c (このIDを非表示/違反報告)
Renkon(プロフ) - この作品の更新を待つのが最近の楽しみです^o^ゆっくり更新頑張ってください。応援してます! (2019年5月16日 0時) (レス) id: 26c77d767e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:不破銀ちゃん | 作成日時:2019年4月5日 20時