glass flower

きいろ1 ページ22

紫耀と廉が変だ。
見守ってた俺からすると、それは露骨に。
どうも、神宮寺です。



紫耀は廉を見なくなった。気づいてないの、本人と海人くらいだったと思うくらい、前は露骨に見てたのに。

廉は紫耀を前より見るようになった。紫耀を盗み見るような姿がちらほら。


両片想いの2人になにが？


「おい、神、何こっち見てんだよ」
「別に。メンバーウォッチング」
「ヒマなの？」
「わりと忙し」

意味わかんね〜と言いながら、紫耀が笑う。
いや、俺にはお前が意味不明なんだけど。
紫耀が椅子を引いて、俺の隣に座る。れんかいばりの距離感ゼロで。

「神、ずっと相談してた件だけど。あれ、もう大丈夫だから」
「ぅん？」
「ナイト役、おわり〜」
「…え、ついに告っーー」
「俺、廉が幸せならそれでいい」


俺にしか聞こえない程度の声で、紫耀はそう言った。
どういう意味か聞きたかったのに、


「だから俺が廉を好きだったこと、誰にも言うなよ」

強い眼差しで、すべての言葉を封じられた。
俺の疑問は宙ぶらりん。








紫耀の消化不良を抱えたまま、俺はこの日、さらなる衝撃に出会うこととなる。


「廉に男と付き合って紫耀忘れれば？みたいに言ったんだよ。同性とお試しで付き合う事ってムリだろ？だからさ、考えれば考えるほど紫耀しかいない！うん、告白しよう！ってなるじゃんか？いや〜俺の作戦スゴイわ」
「いや、上手くいってないでしょ、その作戦」
「何言ってんだよ、上手くいったんだよ！廉の奴、この間キスマーーーっ‼いっ今のなし‼なし‼」


キスマー、まで言ったらわかるよ。
キスマークねぇ…。
ついてたんだ、廉に。
また女の子と一晩の付き合い？
いや、でもそれなら紫耀は今まで通りナイト役は続けたはず。



マジで男の恋人作った？



誰？、と考えてなぜか浮かぶ顔があった。
このクソ忙しくてスキャンダルに敏感なときに、付き合える男なんてーー。


紫耀が今更にヤキモチをやいた相手しかいないじゃん。



「……マジか」



思い当たった可能性の残酷さに、思わず口を抑えた。


「そういや、両片思いのこと、海人以外は皆知ってたんだぜ〜って報告しといた」


えっ

ええええええっ⁉



なんで岸くん満足そうの？
大体なんで岸くんの中では2人が上手くいってんの？


わけがわからなすぎて、俺の思考はショートした。

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