パヨカカムイとカンステ ページ4
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『とある村のはずれに貧しいアイヌの一家が住んでいました。』
『一家の父親は狩りが下手でしたが、ユーカラを語るのは上手でした。』
『ある時、父親が子供たちにユーカラを語っていると、家の外にパヨカカムイがいることに気がつき、急いで捧げ物を用意しました。』
『その晩、パヨカカムイは父親の夢枕に現れ、上手なユーカラと捧げ物の礼を言うと疫病を防ぐ方法を伝えて去っていきました。』
『その方法をコタンの皆に伝えると、コタンの人たちが疫病にかかることは無かったと言います。』
『ですがパヨカカムイには人間との間に生まれた
『カンステは雄弁で心の正しくない人間で、半神半人の怪人物で疱瘡を司る神様だったので、カンステは人々に殺されてしまいました。』
『けれどカンステは何度殺されても生まれ変わるので、アイヌたちはカンステの上下の顎を引き離して埋葬するとカンステが生き返る事はありませんでした。』
『しかし、そのアイヌたちの多くは疱瘡に罹って死んでしまいました。』
『そしてわずかに残ったアイヌたちも津波に遭って死んでしまいました。』
『そのため、津波はカスンテの祟りといわれるようになりました...』
『これは父が私に初めて話してくれたウエペケㇾです。』
『疱瘡で亡くなり、両親と死に別れた父は祖父の知り合いからこの話を聞いて嘆き悲しんだと言っていました。』
父は私によく言っていた
両親が亡くなったのはパヨカカムイでもカンステの祟りでもないと
その前になぜ樺太アイヌは
北海道へ移住をしなければならなかったのか
勝手な都合でアイヌが消えていく...
父はそれが許せないと言っていた
だから...
尾形「おい...」
『あ...すみません、暗い話をしてしまって』
私、なんで涙なんか...
こんな時だから暗い話をしてしまうんだ
気分転換のためにお散歩をしていたのに
こんな時は深呼吸が良いって聞いたことがある
深呼吸をして気を取り直そう、仕切り直しだ
『尾形さん。』
尾形「何だ。」
『良かったら一緒にお散歩しませんか?』
気を取り直し
私は尾形さんを誘ってお散歩へ行く
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作者名:檜枝 | 作成日時:2020年7月12日 1時