支え、そして覚悟 ページ11
.
-網走監獄侵入大作戦2日目-
私が杉元さんに外出許可をもらった翌日
各個人がそれぞれの作業を本格的に始めた
私はアシㇼパと共に山で食料を採取したり
網走川までお昼ご飯を運ぶという任務が課せられた
アシㇼパ「イナンクル、行くぞ」
『はい』
私はアシㇼパと共に木の実を拾いに行く
アシㇼパ「ここの木の実は少し採り過ぎてしまったから、もう少し奥の方へ行こう」
木の実を採り尽くしてしまわないように
私たちは森の奥へと進んでいく
そう思えば最近、アシㇼパの口数が減った
いつも明るく元気なアシㇼパが大人しいと心配になってしまう
『アシㇼパ』
アシㇼパ「ん、なんだ?」
『辛はないですか?』
アシㇼパ「大丈夫だ、辛くはないぞ」
アシㇼパ「ただ...」
アシㇼパ「のっぺら坊の正体が本当にアチャだったら...」
アシㇼパ「そう思うと私は怖い...」
そうですよね
アシㇼパが一番辛いし怖いはず...
アシㇼパ「怖い...怖いけど...」
アシㇼパ「それでもここまで来てしまったから...」
アシㇼパ「もう後には戻れない」
アシㇼパ「前に進むしかない」
アシㇼパ「杉元が
アシㇼパ「だから私は大丈夫だ」
アシㇼパにとって杉元さんは支えとなっている
そしてこの先もずっと支えになってくれる
アシㇼパ「イナンクル、やっと笑ったな」
『私笑っていませんでしたか?』
アシㇼパ「いや、笑っていたんだが...」
アシㇼパ「心から笑っていないような気がしたんだ」
不安な気持ちが顔に出ないようにしてたけど
無理に笑顔をつくらない方がよかったかな
アシㇼパ「イナンクルこそ最近元気が無いぞ」
『私もとても怖いです...』
のっぺら坊が本当にウイルクだった場合
アシㇼパが一番辛いだろうけど
私も同じくらい辛い
ウイルクは新しい私の家族でもあるから
『でも私はアシㇼパが一番心配です...』
もしそうだとして
受け入れられるでしょうか...
アシㇼパ「イナンクル」
アシㇼパ「私は大丈夫だと言っているだろう?」
アシㇼパ「どんなに辛いことでもそれが真実なんだ」
アシㇼパ「私は受け入れる」
アシㇼパ「受け入れないと前へは進めないから」
.
445人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:檜枝 | 作成日時:2020年7月12日 1時