夜目 ページ40
.
??「おおおおッ!!」
パァン!!
パァン!!
パァン!!
盲目の盗賊と思われる人が銃を乱射している
でも私たちがいた場所とは真反対だ
あの暗闇の中、灯りで一瞬顔を照らしただけで
頭を精確に撃ち抜くことができるなんて...
そんな事ができるのは尾形さんしかいない
アシㇼパは杉元さんを探せただろうか
もし杉元さんが私たちの近くにいればさっきの様子も見ているはず...
杉元さんなら絶対にアシㇼパを助けてくれる...
どうしましょう...
みんなの所在がわからない今
迷惑になる可能性が高いけど...
おおよその居場所が分かる尾形さんと合流するべきだ
夜目が利くことに感謝しないと...
私は盲目の盗賊が銃口を向けている方へ迂回しながら走った
なるべく音をたてないように...
気づかれないように...
.
『尾形さん...!!』
尾形「...イナンクルか。」
『大丈夫ですか?』
『相手がこちらに銃を乱射していたみたいですが...』
尾形「ただ乱射していただけだ。」
尾形「伏せていれば当たらん。」
『良かったです...』
怪我がないならそれだけで...
尾形「どうして俺の居場所がわかった。」
尾形「あそこから距離はあるはずだ。」
『私、夜目が利くんです。』
『夜目が利くと言っても本当によく見えるわけではないので、手探りですが...』
尾形「よくここまで来たな。」
『ん...』
尾形さんは私を引き寄せると
優しく抱きしめて、頭を撫でてくれた
『こ...怖かったです...』
尾形「怖がりか。」
『怖がりですよ...』
怖いと思ってるのに、身体は震えているのに
いざとなると勝手に身体は前へ進んでいくんだ...
『周囲には誰もいませんが、少しここから離れましょう。』
『こっちです。』
私は尾形さんの手を引いて歩く
ん...?そう言えば...
『尾形さん...』
尾形「なんだ。」
『失礼と存じますが...』
『服着てますか...?』
尾形「いや。」
やっぱり...
身体濡れてたからきっと露天風呂に浸かっていた時に奇襲されたのだろう...
ビリッ
ビッ...
尾形「何をしている。」
『これで身体を拭いて下さい。』
私は長襦袢の裾を切って尾形さんに渡した
ビリッ
ビリッ...
『あとこれも...』
『目のやり場に困るので...』
私はアットゥシの裾も切って尾形さんに渡した
丈が短くなってしまったけど、この際は仕方がない...
.
219人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:檜枝 | 作成日時:2020年5月25日 23時