休息 ページ43
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夕張へ向かっている途中...
馬での移動がかなり続いたので少し身体を休ませようと、私たちは夕張近郊にあるコタンにお邪魔をさせてもらうことにしました
私は何故か頑張りすぎだとか
少し顔色が悪いんじゃないかと言われ...
今はチセでお留守番中です
そういえば最近
春の兆しがいっそう強くなってきました
いよいよ北海道にも春が到来します
私たちアイヌにとって氷が溶けて水になる季節を
次の冬にひもじい思いをせず安心して暮らせるように、夏の内に山菜や野草などの青物をたくさん採って乾燥させる
これからアイヌの女性たちが忙しくなる季節になる
それよりも...
『私ばかり何もしないで待っていて良いのでしょうか...』
掃除や洗濯は既に終わらせてあるし...
食材は今皆が採りに行っているし...
薪があるか外へ確認しに行くも
まだ補充しなくてもいい量の薪があった
ひとりで待つことがこんなにも孤独だなんて
早く皆の元気な顔が見たい...
寂しさを紛らわすためにひとりでコタンを歩いていると...
アイヌの男「お、アンタ旅人の...」
アイヌの女「今はおひとりなんですか?」
アイヌの夫婦に話しかけられた
あれ...でもこの人...
『あなたは...アイヌではないですね。』
アイヌの女「はい、私は日本人です。」
アイヌにお嫁に来たのかな
同じ年頃のアイヌは皆アイヌ同士で結婚しているからなんだかとても新鮮でステキ...
アイヌの男「アンタは...樺太の方から来たアイヌか?」
アイヌの男「アンタも連れのお嬢ちゃんも綺麗な青い目をしている。」
『ありがとうございます。』
アイヌでもあり
ロシア人でもある私は唯一無二だ
この髪も目も母に似ていると父が言っていた
アイヌの男「小樽の方から来たんだって?」
『はい。』
アイヌの女「ゆっくりしていってね。」
『ありがとうございます。』
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作者名:檜枝 | 作成日時:2020年3月9日 22時