世界は虹色で出来ている20 ページ21
シ「っ…！！！え？！」
動揺のあまり、ガタン！とテーブルに膝をぶつけて立ち上がった。
痛みも忘れてその小さい音声に耳を傾ける。
『…シルクさん、の携帯番号ですか…？』
数秒の無言の後…
くぐもった音声でもわかる
録音されていたのは間違いなく彼女の声。
『あ、のっ、間違いだったら申し訳ありません…。わ、私…Aと申します…です。えっと…失礼します』
…と続けて、彼女からの伝言は終わっていた。
シ「くっそ、やっちまった…！！」
時計を確認すれば、その着信からもう何時間も経っていて
シルクは傍にあった上着を掴んで、スマートフォンを片手に急いで部屋を飛び出した。
さほど遠い距離では無い道程を全力で駆け抜けても、心ばかりが先へ先へと急ぐ。
"逢いたい"
ただ、今はそれだけで
息が切れるほど全速力で辿り着いたAの家の前
インターホンを押す指は情けなく震えていた。
すっかり日が落ち、辺りは暗く静かで
街灯に羽虫が集まってその羽音を響かせていた。
乱れた呼吸を整えていると
玄関の向こうからパタパタと足音が聞こえる
シ「俺…頭おかしくなってんな…」
彼女の足音が聞こえただけで愛しく思ってしまうなんて…と、シルクは自嘲した。
『どちら様ですか…？』
彼女の声に一歩後退りをして中から漏れる光に目を細めた。
シ「っ、A！俺…シル…」
シルクが名前を言い終わる前にガラ！と勢いよく扉が開き、出てきた彼女は驚きの表情と瞳にはいっぱいの涙を溜めていた。
『シルクさん…っ…！！』
シルクは思い切りAの腕を自分の方へ引き寄せ、ぎゅうっと腕の中に閉じ込めた。
シ「…電話、ごめん」
『あ…の、いえ…だいじょ…ぶ』
シ「わりぃ…もうちょいこのまま」
『シルクさん…苦しい、です…』
シ「ごめん、…でもだめ」
抱き締められるシルクの腕の中で、Aの溜まっていた涙がぽろりと１粒零れ落ちた。
→
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 262人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まゆ - 続きが気になります！更新楽しみにしています！ (2023年4月9日 23時) (
レス) id: d503357f65 (このIDを非表示/違反報告)
Ｋ(プロフ) - つーたんさん» つーたんさん初めましてぇぇ！:*:・(*´ω`pq゛ととととっても嬉しいお言葉を頂いて震えてます(動＆揺)ニヤニヤしてもらえて幸せです( *´艸｀)更新頑張りますー！また読みに来てやってくださいね(*○'3`)★+ﾟ (2018年4月22日 11時) (レス) id: c4cdd82739 (このIDを非表示/違反報告)
つーたん(プロフ) - 初めまして！つーたんと申します！小説読みましたが良すぎて続きがとてつもなく気になりました！表現力がなさすぎてヤバいしか言えないですけど、すごく好きな文で携帯片手にニヤニヤしてしまいますwwこれからも更新楽しみにしてます(*´∀`) (2018年4月21日 21時) (レス) id: 52f751b130 (このIDを非表示/違反報告)
Ｋ(プロフ) - #Ena#さん» ふぁぁあ！！ありがとうございますー！！シルクの色が見えましたぁぁあ！内心踊ってます！(やめて)素敵なお言葉ありがとうございます(*´ω`*)励みになります！これからもがんばりまするんるんるんっ( ) (2018年3月24日 23時) (レス) id: c4cdd82739 (このIDを非表示/違反報告)
#Ena# - あぁぁ…夢主ちゃんよかったぁぁぁ(TT)あぁぁぁぁぁぁ(((殴 これからも頑張ってこの素敵な小説をもっともっと綺麗な色で一杯にしていって下さい！応援してます！！！！ (2018年3月24日 22時) (レス) id: 0bfc9f3afc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Ｋ | 作成日時：2017年9月4日 1時
