最強のさんにん【キングダム】

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信には余裕が無いような顔をしているが
大男はまだ余裕そうだ

少し信が押されかけた
大男が急に信の上から振りかぶった

信の向こうに見えた大男は
信の倍の大きさに見える

信がその重い一撃を受け止めていると

その隙をついて大男は
横から信を攻撃する

その隙をつかれた信は大男に蹴られて
掘っ建て小屋に激突した
少しく鳴り声を上げる信


今ので完全に戦意が喪失したと思われた


信「う…うぅ」

朱凶「ほぉまだ息があるかだがもう立てまい」


それを静かに見つめる政
そんなに政を横目に流して

『信、お前を信じてる』

まだ立ち上がろうとする信
あんな一撃を食らっときながら
まだ諦めていない

けどまだ心の中に戸惑いがある

まだ理解出来ていないんだ

漂が自分の前で死んで
その漂とそっくりな奴が前にいて
そいつが国の王で
そいつを狙う奴に自分は殺されかかっている


政「信

何も考えるな


ただ─────



漂の無念を晴らすことだけを考えろ」


真っ直ぐと大男を見る漂によく似た
政の横顔が全く別の場所を
見据えているような気がした


信「………お…お前が漂の名を口にすんじゃねェ!!」


勢い良く立ち上がり心からの叫びを上げる信
大男は内心驚いている事だろう
相変わらず信の根性強さには
感嘆の声を漏らしそうだ


信「漂はこれからだったのに下らねぇ兄弟ゲンカに巻き込みやがって」

政「下らんだと？」


政は信の言葉に結構食い気味に
聞き返すけど信は何も戸惑わずに
それよりももっと食い気味に言い返す


信「ああ下らねェ!!俺たち底辺の人間には誰が王かなんて興味なんいんだよ!!」


『信…』


静かに目を閉じて信の言葉を聞いていく

何故か漂が私の腕の中で死んだ時の
どの言葉も直ぐに耳を通り抜けずに
すんなりと心に入っては染み込んでいく


心に染み込んでは私の心を暖める信の言葉
私の心を包み込んでいく
鋭い様で暖かくしっかりとした信の言葉


信「それなのによくも漂を……ちきしょう…あいつは…これから武功を上げてでっかい屋敷を建てて
うまいもんを腹一杯食ってすげェ美女を妻にして…うぐ…それから…

…くそっ…死んじまったじゃねェか」


ぐっと漂の剣を握る手は苦しさで充ちていた
涙がまた信の目から零れていく

涙は信の胸に深く刺さった悲しみの棘を
涙で流そうとしている
けど何度流しても深く刺さりすぎて

────逆に信の心を痛めつけるばかりだ

30→←貴方の幸せ

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