狗巻棘の犬

犬４９匹 ページ50

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バタバタと静かな廊下に二人分の足音

私は訳もわからず出口に向かっていた




迎えが待ってるって誰が?

そもそもなんで私がこんなことしてるの?

報告会は?

相手の方はなんで笑顔だったの?




頭の整理が追いつかないのに、

握った棘くんの手を離さなかった





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「お、やっと来た〜こっちこっち〜!」


声のする方を見れば五条先生がいてまた驚く


『え!?なんで五条先生がこちらに!?』

「なんでって……駆け落ちの手伝いに?笑」

『駆け落ち！！？？』


誰と誰が?え?私と棘くんが?…え？？駆け落ち？？？



パニックで頭がパンク寸前になっている私を

棘くんは抱き寄せ小さな声だけど確かにこう言った






「っA、…好きだよ」







『ぇ、……』




その言葉は言いたくても言えなくて


消したいのに日に日に大きくなっていったから


だから、だから隣にいちゃダメだと思ったの




『ほん、と?』

「しゃけ」




嘘じゃない?夢じゃない?

ねぇお母さん、私もう、いいかなぁ？




ツゥ…と流れる涙に棘くんがおかか…？と聞く




『う、っぐ…おかかなわけ、っ

ないじゃないですかぁ……！！』




『私だって！っ私の方が、！棘くんのこと！！

う、ぁ…うっ』









『好き、だよぉ…』








抱き締められた棘くんの胸の中で

ずっとずっと言いたかった言葉を

ぎゅっと噛みしめて言った





「しゃけ！」





棘くんは今までで見た中で最高の笑顔だった





.




『も、う…犬じゃないですか？』


「しゃけしゃけ」


『好きって言っても、大丈夫ですか？』


「しゃけ」


『そ、っかぁ、へへっ』







『じゃあ、棘くんの犬は今日までですね』









私はそう言って棘くんのことを力一杯抱き締め返した









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fin

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