狗巻棘の犬

犬２９匹 ページ30

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棘くんも着物に着替え、会集が始まった




『(…?)』




会集にしては、娘さん達が多い…?

娘さんが多いというか、御家族総出…?



…気のせいじゃないよね


少し胸騒ぎがした


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呪言師の当主様に代わり奥様が口を開く



「この度急な会集にお集まり頂き、

ありがとうございます。

本日皆様にお集まり頂いた理由は、次期当主

棘の縁談の募集をさせて頂くということです。」




『なっ!?』

「高菜!?」




その場で驚いていたのは私たち2人だけで、

他の人達は動揺もせず、

ただニコリと笑みを貼り付けていた




私と棘くんは予想もしていなかった内容に

奥様の方に顔を向けるが奥様はそのまま話し続けた




「次の会集、3ヶ月後にて

棘の婚約者報告をさせて頂きます。

これにて会集を閉じさせて頂きます。」



そう奥様が告げた直後、棘くんは立ち上がり

逃げ出すようにこの場から去った




『お、お待ち下さいっ！』


私もすぐに棘くんの後を追いかける




途中、奥様の方へ駆け寄る方々に嫌気がさした



貼り付けた笑みで、

家のため、

権力のため、

全ては己のために…




仕方ない事だとはわかってる

しょうがない事だって理解してるつもり




けど、娘さん達はそれでいいのかな…

私だったらそんなの嫌だ

ちゃんと好きになった人と愛のある結婚をしたい





…棘くんにだって、そうであって欲しいと願っている



棘くんは今何を思ってるんだろう







私は棘くんの部屋を目指した







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