[黄名子ちゃん]菜花黄名子なんて、大嫌いだ。[嫌いな人へ]～Ω3兄弟の逆襲(嘘)～!4! (ページ13)

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私146 ページ13

部屋に着いて、いきなり壁に叩きつけられた。
背中を思い切り打ち付けたことで、肺の中の空気が一気に口から溢れた。
そのまま、ずるりと床に座りこむ。立ち上がるにも、足に力が入らない。

彼は、じっと私を見下ろしていた。
まるで睨みつけるように。
それでも、珍しい事にその目に余裕はほとんど無くて。焦りや、ほんの少しの恐怖が読み取れた。
私は、そんな彼から目を逸らす事ができなかった。

冷たい月の光が部屋を照らす中、カチ、カチという時計の音だけが響く。

…どのくらいそうしていたのだろうか。
不意に彼が口を開いた。

「雷門に居る好きな奴の事、詳しく教えてくれないかな?」

その声はとても穏やかで、まるで怖がる必要は無いとでも言いたげだった。
でも、言っている内容が不穏だった。

「それを知って…どうするつもりなの…?」

恐る恐る、私は聞いた。
彼は苛立たしげに眉間に皺をよせた。

「…壊しに行くんだよ。そいつをね。
大丈夫、原形を留めないくらいにぐちゃぐちゃにしておくから。
きっと皆、それが誰かは気付かないさ」

言っている意味が理解できなかった。
いや、理解したくなかった。

壊すって。ぐちゃぐちゃにしておくって。
それって、つまり。

「…嫌だ。教えない」

殺すって、事じゃないか。