目覚めたゾンビ ページ1
*
ふと目を開けると、冷たい感覚が自分を襲っていた。いや、冷たいと言っても、寒さは感じない。ただ冷気が自分を包んでいる、というのだけは分かった。身震いもしないし、ただ単純に気温を感じ取っただけ。
此処は森だろうか。周りには草木が生い茂り、小鳥の歌が僕の鼓膜を撫でている。人が住んでいた痕跡が残る村のような場所。どうやら僕は、地べたに座り込んで寝ていたらしい。
――いや、そもそも僕はどうしてここにいるんだっけ。記憶もなく、ただ1人佇んでいた僕。思い出そうとしても、何も頭には浮かばない。
「僕って、何だろう」
自分の疑問を、自然と声という形にしていた。試しに、両手を見つめてみる。普通の人間の色してるし、動かせる。あーって声を出してみる。少し掠れてるけど、少し高めの、普通の男の子の声がする。
疑問としては、僕は人間ではないかもしれない、ということだ。地べたに座っていたなら多少の痛みはあるはず。
しばらく立ち止まった。記憶も無い、しばらく寝ていたらしい身体。でも、痛みも寒さも暑さも感じない。人間なら感じる筈の空腹、痛み、孤独すらも感じない。
僕はいなくなった。この世から存在を消された。それなのに、生きている。試しに、地面に落ちていた小枝を持ってみる。しっかりと握りしめたそれは、自分の手に感触を残した。
……僕はゾンビになってしまったのか。ゾンビの概念は分からないけど、生きているのに死んでいる、というのならゾンビが正しいのかもしれない。
「僕はどうすればいいんだろう」
ゾンビの僕は考える。
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紅苺(プロフ) - 由羅さん» コメントありがとうございます！ 面白いと言って頂けて光栄です。これからも読んでくださると嬉しいです。 (2019年3月16日 21時) (
レス) id: d59b2bee84 (このIDを非表示/違反報告)
由羅 - 独特の世界観で面白いです！これからも頑張ってください！ (2019年3月16日 21時) (レス) id: 323856da4b (このIDを非表示/違反報告)
紅苺(プロフ) - 浅野月愛さん» コメントありがとうございます！ あまり見かけないジャンルを作ってみました。ゾンビって言えるかは謎ですけどね……(笑) 頑張りますね！ (2019年3月3日 20時) (レス) id: 989dfb85b6 (このIDを非表示/違反報告)
浅野月愛(プロフ) - ゾンビとか初めてみました！面白そうだから頑張って下さい！！！ (2019年3月3日 19時) (レス) id: e6ca85b3e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅苺 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kinakomoch3/
作成日時：2019年3月3日 15時
