Valkyrieの人形はプロデューサー (ページ37)

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第三十四話ページ37

さて、いよいよ最終下校時間になるのだが、『fine』の面々は未だに帰ろうとする気配もない。むしろ刻々と時間が過ぎてゆく代わりに彼らは増々やる気が増していくようだった。私はタオルやドリンクを用意し、いつでも休憩できるようにスタンバイしていたのだが、一向に誰もそれを取ろうとはしなかった。
『そろそろ休憩しませんか？』
「いや、まだいけるよ。コツが掴めてきたんだ。今のところ、もう一回やるよ」
会長の一言でメンバーが頷く。なんという集中力。本当は、『Valkyrie』を手伝いたかった。でも、これでスバルくんやなずなさんたちが勝てば私は戻れる。それが最後の希望だ。畳んでいるタオルを握りしめ、私は目を瞑る。もう、あのころには戻りたくない。

「よし、今日はここまでにしようか。解散だよ」
そこで『fine』のレッスンは終わった。すでに時刻は10時を回っている。私はメンバーにタオルとドリンクを配りながらスマホをチラリと見た。まだ通知は来ていない。北斗くんから連絡があると思ったのだが、くる気配もない。教室でも北斗だけではない、真くんも真緒くんも私やスバルくんを避けている気がする。特に真緒くんは荷が重いのだろう。真くんも、彼は彼で人一倍重い荷を抱えている。でも、このままでは完全に『Trickstar』は崩壊してしまう。一等星が、四等星になってしまうようなものだ。
「転校生！ボクのドリンク味が薄いんだけど！」
『味が濃すぎると体に吸収されにくいから』
「フンッ！奴。隷のくせに生意気！」
桃李くんはそう文句を言いつつもいい飲みっぷりだった。喉の渇きには勝てなかったのだろう。

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