Valkyrieの人形はプロデューサー (ページ36)

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第三十三話ページ36

『それはさて置き、どうして渉さんは友也くんを連れてきたのですか？あくまでも彼の所属する『Ra*bits』は『fine』の対戦相手ですよ？』
「演劇部の先輩後輩という関係なんですよ。あの変態仮面とは」
『それは災難だったね』
まったりと話しながら友也くんと打ち明けられるように努しむ。
「そうなのです！」
いきなり渉さんが両手をバッと広げたかと思うと、ハトを飛ばした。どこからでてくるの？そのハトは……？
「友也くんにヒロイン役を頼もうとしましたが、彼はいつも私を見る度に逃げてしまいますからね！」
そりゃあそうだと心の中で突っ込む。一方的に友也くんが可哀相に見えてくる。北斗くんも演劇部だと聞いたが、この人が部長だとするのならばどんな活動をしているのだろうか。演劇部の先が思いやられる……。
「ちょっと！さっきからボクたち空気なんだけど！」
「坊ちゃま、そんなに気を荒くしてはいけません。次期姫宮家の当主となるお方が……」
「弓弦は黙っててよ！大体さ、なんなの！？会長も全然レッスンに来てくれないし、このボクを放っておくなんて！」
『桃李くんを放っておくのも構ってあげるのも私の勝手。桃李くんの都合に合わせてはならない』
「ヴッ……」
桃李くんが押し黙ったので、話を再開させることにしよう。と、その前に書類を片付けねばならない。私は床に散乱させた【DDD】に出場する『ユニット』の書類はかき集め、一束にしておいた。勿論、確認したものは隣に置いてある。
茶菓子と緑茶を取り出して、「椅子はないが、座布団でよければどうぞ」と正座を薦めた。座布団に友也くんが座ったのを確認すると、私はアンドロイドの音声アプリを起動させた。
『今回の【DDD】だけれど、『Ra*bits』はそのままでるんでしょ？』
友也くんは肯定した。
これから、楽しくなりそうだ……♪