Valkyrieの人形はプロデューサー (ページ35)

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第三十二話ページ35

『fine』の防音レッスン室。私は書類の束を抱えて一つ一つに目を通していた。【DDD】に出場する『ユニット』の確認だ。万が一、ソロがいた場合はその『ユニット』の参加は無効。出場は認められなくなる。後に先生や生徒会にも話して出場を認められた『ユニット』を公開するのだ。これは、【DDD】のための最初にやらなければならない責任重大な仕事だ。
「あれ～？転校生？」
レッスン室に入ってきたのは桃李くんだ。後ろに使用人の弓弦くんもいる。
「こんなところで仕事？」
「でしたら私も手伝いますよ？」
『大丈夫。確認だけだからすぐ終わるよ。気持ちだけ受け取るね？』
弓弦くんは、「なにかありましたら手伝います」と言って、桃李くんとウォーミングアップを始めた。
今日のメニューは、ストレッチ、歌唱、振り付けの確認……あとちょっとしたパフォーマンスの練習だ。本来ならば、スバルくんや宗さんたちのレッスンも手伝いたいのだが、この山積みの書類と、目の前に『fine』のメンバーがいる時点でそれは不可能となった。
「Amazing！」
「はーなーせー！！」
突如扉が開き、渉さんが入ってきたかと思うと、もう一人小脇に抱えられてジタバタと暴れている生徒を見つけた。ネクタイの色から一年生……にしてはちょっと大きいな……。
『放してあげてください』
そう打つと、渉さんはあっそりと生徒を手放した。
「あ、ありがとうございます。俺、真白友也っていいます」
『よろしく、私は『プロデューサー』の(人1)A。『Ra*bits』だよね？【DDD】に出演する……よく北斗くんから話は聞いてるよ』
「北斗先輩から！？」
物凄く嬉しそうだ。周りにお花が散っているようにみえる。