Valkyrieの人形はプロデューサー (ページ33)

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第三十話ページ33

あの『B1』が行われた翌日。私はすっかり怖気づいてしまって3年生、2-Bの教室から遠回りして教室へ入った。見せる顔すらないから。教室に入ると、スバルくんがいきなり抱き着いてきた。泣いている。
「転校生、どうしよう……俺……」
『泣く』という感情を素直に受けためたことがなく戸惑っているスバルくんに私はおどおどするしかできなかった。とりあえず、話を聞いてみよう。こんな私でも、力になれるところは手を伸ばしてあげたい。
「ホッケ～が…ううん、『Trickstar』の皆が、俺のところから離れて行っちゃった……」
綺麗な顔をぐしゃぐしゃにして、泣き崩れて、仲間が遠ざかってしまって……。きっと、私より胸が痛いのだろう。こんなところで私がくじけてはいけない。必ず、元の場所に…『Valkyrie』に帰るんだ。おもちゃ箱の中にあるように、ずっと大事にされる『人形』となるために……。
『スバルくん、気づいてあげれなくてごめんね？私でよければ、力になるよ』
「転校生……？」
『スバルくんは一人じゃない。たとえ仲間に裏切られたとしても、私はスバルくん、『Trickstar』の味方だから』
「そうだね……俺、転校生がいるのに、一人だって思っちゃった…。ありがとう」
そう言って、スバルくんは笑ってくれた。あの、キラキラとした一番星のような笑顔で。
『Trickstar』は枯れてなんかない。勿論、私もだ。必要のない、ボロボロの『人形』になったわけではない。一時期、友達に貸されているような気持ちなら、こんな地獄めいたこと、どうってことない。
私はスバルくんの手を握り、立ち上がる。まず向かうのは生徒会室だ。

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